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【中国・インド】ヘルス・システム・タスクフォース、医療サプライチェーンで再エネ転換促進。LCA基準も

 国際NGOの持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と、英チャールズ皇太子が創設した持続可能な市場イニシアチブ(SMI)のヘルス・システム・タスクフォースは11月29日、中国とインドの電力セクターとの協議を進め、設備容量70MW以上の再生可能エネルギー電力を確保したと発表した。医療サプライチェーン全体での再生可能エネルギー転換を拡大する。

 ヘルス・システム・タスクフォースは、2021年の第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)で発足した官民パートナーシップ。アストラゼネカ、グラクソ・スミスクライン(GSK)、ノボ・ノルディスク、ロシュ、メルク、サムスンバイオロジクス、サノフィ、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、サステナブルヘルスケア連合、パヴィア大学が加盟。今回の国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に合わせ、レキット・ベンキーザー、ノバルティス、ブーパが新たに参画した。

 ヘルス・システム・タスクフォースの加盟企業は、2023年初頭に科学的根拠に基づく削減目標を設定し、二酸化炭素排出量や水消費量、廃棄物量の削減を進めている他、サプライヤーに対する共同の最低環境目標の設定も求めている。同目標は、最大手医薬品サプライヤー100社以上だけで、二酸化炭素排出量を年間350万t削減できる見込み。

 ヘルスケアセクターは、世界全体の二酸化炭素排出量の約5%を占め、同セクターの排出量の50%以上は、製造サプライチェーンによるもの。特に電力は総排出量の約25%を占めている。また中国とインドは、医薬品製造の主要市場で、医薬品原料製造の最大50%を占めると推定されており、今回のアクションに至った。

 中国では今回、江蘇省、広東省、上海市、北京市で電力協定を締結。2024年以降、設備容量で年間約70MWの再生可能エネルギーが供給される。一方インドでは、グジャラート州、カルナータカ州、マディヤ・プラデシュ州、マハラシュトラ州、タミル・ナードゥ州のサプライヤーを支援することを目指す。同アクションには、ロンザも参画している。

 また同イニシアチブは、医薬品と患者のケアに伴う環境インパクト測定フレームワークの開発に向けた新たな官民パートナーシップも締結。医薬品では、ライフサイクルアセスメント(LCA)の業界スタンダード策定に向け、医薬品環境グループ(PEG)、NHS(国民保健サービス)イングランド、Quantis等と協働。医療システム、医療機関、専門家、学者、患者等との間での合意を得、英国規格協会(BSI)との協働で規格を制定予定。同アクションには、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー、武田薬品も参画している。

 患者ケアでも、二酸化炭素算定の国際的な測定フレームワークを開発。臨床試験の同排出量の定量化方法についても検討する。またレキットベンキーザーは、ヘルスケアセクターのカーボンニュートラル化に向け、消費者の健康とウェルビーイングが果たす役割に焦点を当てたワークストリームも主導する。

 COP28では、COPとして初めて保健医療に焦点を当てている。背景には、気候変動が非伝染性疾患や感染症の増加の一因となっており、大気汚染だけで毎年700万人が早死にしていることがある。

【参考】【国際】COP28、「気候と保健に関する宣言」採択。資金動員へ。パンデミックやWASHも(2023年12月3日)

【参照ページ】Global healthcare leaders advance sector decarbonisation at COP28
【参照ページ】Health Systems Task Force

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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