
国連食糧農業機関(FAO)は6月7日、水産の隔年報告書「世界漁業養殖業白書(SOFIA)」の2024版を発行した。魚介類の生産量で養殖業が初めて漁業を上回った。
2022年の世界の漁業と養殖業の生産量は、2020年から4.4%増で過去最高の2億2,320万tに急増した。生産量の内訳は、魚介類が1億8,540万t、藻類が3,780万t。そのうち食品として消費されたものが89%。残りは飼料や魚油としての消費。
また全体のうち59%の1億3,090万tが養殖での生産。さらにそのうち62.6%を内水養殖が占める。また魚介類の生産量1億8,540万tのうち、漁業が9,100万t、養殖が9,440万tで史上始めて養殖が上回った。
魚介類養殖生産は、中国、インドネシア、インド、ベトナム、バングラデシュ、フィリピン、韓国、ノルウェー、エジプト、チリの10カ国で世界全体の89.8%以上を占めている。FAOは、アフリカやアジアの低所得国の多くは、養殖ポテンシャルを十分に発揮できておらず、養殖が持続可能になるためには、技術移転、キャパシティビルティング、責任ある投資にとって重要とした。
漁業での水産資源量の動向では、持続可能な資源量を確保できている魚種が2019年の64.6%から2021年には62.3%に減少した。生産レベルで加重平均すると、FAOが監視している資源からの2021年の推定水揚量のうち、76.9%が持続可能な資源量を確保できている状況。
FAOは、2032年までに魚介類の漁業と養殖の生産量は10%増加し、2億500万tになると予想。消費量も12%増加し、2032年には一人当たり平均21.3kgを供給すると見立てた。所得の増加と都市化、ポストハーベスト慣行の改善、流通と食生活の傾向が要因。但し、人口増加に生産増が追いつかないアフリカでは、一人当たりの消費量が減少するとした。特にサブサハラ・アフリカで懸念されるという。
また2050年までのシナリオでは、世界人口の増加により、魚介類食品の消費量を2050年まで、2022年に推定された一人当たり20.7kgのレベルを維持するには、総供給量を22%増の3,600万t分増加させる必要がある。
【参照ページ】FAO Report: Global fisheries and aquaculture production reaches a new record high
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