
監査法人世界大手KPMGは7月7日、グローバルを対象に、M&AにおけるESGデューデリジェンスの調査報告書を発行した。M&A取引全体が、経済や地政学の状況が悪化し減少しているのに対し、M&AでのESGデューデリジェンスの重要性は増していると伝えた。
KPMGは、2022年に欧州・中東・アフリカ(EMEA)を対象に初のESGデューデリジェンス調査報告書を発行している。グローバルを対象とした調査報告書は今回が初。600人以上のM&A実施企業と意見交換を行い、さらに詳細インタビュー調査も50件以上実施した。
今回の調査報告書では、M&Aディール関係者の70%が過去12ヶ月から18ヶ月の間に、ESGデューデリジェンスの重要性が高まったと回答。約80%が、より広範なESGの考慮がM&Aのアジェンダに定着したと回答しており、2023年の74%と比べても8ポイント増加した。この点については、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋、米州の3つの地域で大きな差はなかった。
今後の展望では、M&Aディール関係者の57%が、今後2年間にほとんどの取引でESGデューデリジェンスを実施すると回答。今後この種のESGデューデリジェンスを実施するつもりはないと明言したのはわずか6%だった。
ESGデューデリジェンスを実施している主な理由は、ディールプロセスの早い段階でサステナビリティ関連のリスクや機会を特定することに、財務価値があると信じているとの回答が最多で、欧州・中東・アフリカで61%、アジア太平洋で60%、米州で51%だった。ESGデューデリジェンスが規制要件を満たす上で有益とした回答が2番目に多かったが地域差があり、欧州・中東・アフリカで57%、アジア太平洋で55%、米州で19%だった。
過去12ヶ月から18ヶ月の間でESGデューデリジェンスの重要性が高まったことの理由については、ステークホルダーからの要求が最多で、欧州・中東・アフリカで75%、アジア太平洋で74%、米州で79%だった。
M&Aディールでの買い手の種別では、金融投資家のほうが、企業投資家よりも、ESGデューデリジェンスのアプローチが成熟しているとの回答が多かった。ESG状況の良好な企業に対するプレミアムでは、グローバル平均で、10%超が4%、6%から10%が12%、1%から5%が43%、プレミアムなしが41%だった。
【参照ページ】Global ESG due diligence+ study 2024
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