
日本政府は12月6日、生物多様性増進活動促進法の施行日を2025年4月1日に決定する政令を閣議決定した。同法は4月11日に国会で成立し、4月19日に施行された。
同法は、ネイチャーポジティブの実現に向け、企業等による地域における生物多様性の増進のための活動を促進するため、主務大臣による基本方針の策定、当該活動に係る計画の認定制度の創設、認定を受けた活動に係る手続のワンストップ化・規制の特例等の措置等を講ずるもの。
同法ではまず、国、地方公共団体、企業、国民、民間団体が密接に連携し、自然と共生する社会の実現を目指すことを基本理念とし、国に対し総合的な施策の策定を、地方自治体に対し地域生物多様性増進活動を実施及び促進することを義務化している。企業には、地域生物多様性増進活動の実施を、国民には、地域生物多様性増進活動への協力を努力義務として課している。
「地域生物多様性増進活動」とは、「里地、里山その他の人の活動により形成された生態系の維持又は回復、生態系の重要な構成要素である在来生物(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)第二条第一項に規定する在来生物をいう。)の生息地又は生育地の保護又は整備、生態系に被害を及ぼす外来生物(同項に規定する外来生物をいう。)の防除及び鳥獣の管理その他の地域における生物の多様性の増進のための活動をいうものとすること。」を指す。
そのうえで、主務大臣(環境大臣)は、生物多様性基本法第11条第1項に規定する生物多様性国家戦略、森林法第4条第1項の規定によりたてられた全国森林計画、農林水産省所管のみどりの食料システム法第15条第1項に規定する基本方針、都市緑地法第87条第1項に規定する緑地確保指針との調和を保った基本方針を定める責務を負う。
さらに、企業等が策定する「増進活動実施計画」と、市町村がとりまとめ役として計画する「連携増進活動実施計画」に関しては、自主的に提出し、主務大臣が認定する制度も設けられた。認定を受けた企業・団体や、市町村は、その活動内容に応じて、自然公園法・自然環境保全法・種の保存法・鳥獣保護管理法・外来生物法・森林法・都市緑地法における手続のワンストップ化・簡素化等の特例を受けることができる。また、認定を受けた市町村は、土地所有者等と「生物多様性維持協定」を締結することが可能となり、長期的・安定的に活動が実施できるようにした。
また、今回閣議決定された政令では、宅地建物取引業法施行令の一部を改正し、宅地の売買等の契約の成立までに説明が義務付けられる重要事項に、生物多様性維持協定の効力に関する事項の概要を追加することを義務化。また、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律に関する政令の一部を改正し、違法伐採に係る木材等に該当しない蓋然性が高いことを証する情報から、地域連携保全活動計画の内容を証する情報を削除し、認定増進活動実施計画の内容を証する情報等を追加するものとすることとした。
【参照ページ】「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律の施行期日を定める政令」等の閣議決定について
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