
世界保健機関(WHO)、国際電気通信連合(ITU)、世界知的所有権機関(WIPO)は7月11日、「伝統医学におけるAI応用マップ」を発表した。急速に進化するAIの医療分野における動向と、伝統医学への応用可能性について解説した。
伝統的、補完的、統合的医療(TCIM)と呼ばれる医療は、170カ国で実践され、数十億の人々に利用されている。伝統医学の代表例には、中国医学、インド医学(アーユルヴェーダ)、ユナニー(グレコアラブ)医学がある。現在、TCIMの実践は、予防、健康増進、リハビリテーションを重視する包括的な健康アプローチへの関心の高まりを背景に、世界的に普及。2025年にTCIMのグローバル市場規模は、約600億米ドルに達すると推計されている。
同報告書は、ITUとWHOの合同の「AIと健康に関するフォーカスグループ(FG-AI4H)」の下に設置された「AIと伝統医学に関するトピックグループ(TG-TM)」での成果物。AIが伝統医学の分野で活用されている事例を紹介し、AIが伝統医学においてエビデンスに基づく意思決定と政策立案を支援し、保健システムとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の向上にどのように活用されているかを提示した。
具体的には、インド医学におけるAIを活用した診断、ガーナや南アフリカでの薬用植物の特定に機械学習モデルを活用する事例、韓国での伝統医学の漢方医薬品分析にAIを活用して血液疾患の治療に役立てる事例等が掲載されている。
同報告書は、伝統医学の多様性と複雑さを反映したAIシステムを実現するため、高品質でインクルーシブなデータと参加型設計の重要性を強調。TCIMに特化した包括的な枠組み、規制、知識共有、能力強化、データガバナンス、公平性の促進等において開発し、AIのような最先端技術をTCIMの枠組に安全かつ倫理的、科学的根拠に基づいて統合することを確保する必要があるとしている。
また具体的な実践においては、先住民族のナレッジを温存してきたインドの伝統的知識デジタル図書館や北南米大陸のバーチャルヘルスライブラリーが先進的なアプローチとして参考になると紹介。特に重要な視点として、先住民データ主権(IDSov)の維持、FPIC(自由で事前かつ十分な同意)原則に基づくAI開発、発展途上国から生物資源関連の伝統的知識を無断で抽出もしくは当該知識や資源に基づく虚偽の発明を補償なしに特許化する行為「バイオパイラシー」を防ぐことが重要とした。
【参照ページ】WHO, ITU, WIPO showcase a new report on AI use in traditional medicine
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