
機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は8月26日、畜産・水産大手60社を対象に実施した環境・社会・栄養格付「Coller FAIRR Protein Producer Index」の2023年調査に関し、水関連リスク動向をまとめたペーパーを公表した。
【参考】【国際】機関投資家団体FAIRR、畜産・水産大手60社の2023年ESGランキング発表。日系も5社(2023年11月10日)
同インデックスの評価手法は、水産・畜産に関連するESG観点から、「温室効果ガス排出量」「森林破壊・生物多様性」「水消費・希少性」「廃棄・汚染」「抗生物質」「動物福祉」「労働慣行」「食品安全性」「ガバナンス」「持続可能なたんぱく質」の10項目を評価しているが、水関連のスコアは、全指標の中で2番目に悪い状況にある。
研究論文によると、畜産の水消費量は、動物性たんぱく質1kg生産当たり、酪農で2,714L、羊肉で1,803L、豚肉で1,796L、牛肉で1,451L、鶏肉・鶏卵で660L。水ストレスの高い地域での畜産は、リスクを抱えるようになってきている。
2023年の調査では、水使用と希少性に関して高リスクと評価された畜産企業数(全体数は52)は、38社から34社へと減少したが、62%が依然として水関連リスクの管理が不十分であると評価されている。分野別では、牛肉生産者の開示が進んでおり、鶏肉・鶏卵生産者が最も状況が悪い。
畜産・水産大手60社のうち取水削減目標を設定しているのはわずか10社のみ。しかし、その多くの企業は飼料を含めたサプライチェーン全体の取水量の総量削減ではなく、原単位での改善のみを掲げている状態にある。
また、水ストレス地域からの飼料調達源を全て開示していたのは、米食品大手Vital Farmsのみ。7社はデータを一部開示していたが、残る44社は一切開示していなかった。
同ペーパーは、水経済に関するグローバル委員会によれば、淡水の需要が5年以内に供給を40%上回ると予測されていることを紹介。水不足が発生した場合、全セクターの企業に2,000億米ドルから3,000億米ドルの損失をもたらすとも予測されており、これは水関連リスクを積極的に管理する場合の推定コストの約5倍に相当する。
そこで同ペーパーは、畜産企業に対し、水関連の情報開示の改善、重要指標の標準化、野心的かつレジリエントな目標設定の3つを要請した。
【参照ページ】Only 19% of Top Protein Producers Have Set Targets to Reduce Exposure to Water Insecurity, Driving Risk for Investors
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