エンジニアリングやインフラストラクチャのコンサルティングを手掛けるオランダのアルカディス(Arcadis)社は5月16日、世界主要都市の水資源環境から見た住みやすさを分析し、格付及びランキング「Sustainable Cities Water Index」を発表した。この格付では、「水供給の強靭さ」「水供給の効率」「水質」の3つの分野26項目で評価を行い、その総合得点でランキング付を行った。各項目の指標は、他の国際機関やNGO、企業が発表しているデータを元に評価された。
水観点での住みやすさ都市ランキング
- ロッテルダム(オランダ) 85.5%
- コペンハーゲン(デンマーク) 85.4%
- アムステルダム(オランダ) 83.9%
- ベルリン(ドイツ) 82.9%
- ブリュッセル(ベルギー) 79.8%
- トロント(カナダ) 79.6%
- フランクフルト(ドイツ) 78.2%
- シドニー(オーストラリア) 77.1%
- バーミンガム(イギリス) 76.4%
- マンチェスター(イギリス) 76.0%
- メルボルン(オーストラリア)75.9%
- パリ(フランス) 75.4%
- ワシントンD.C.(アメリカ) 74.6%
- ニューヨーク(アメリカ) 72.9%
- ヒューストン(アメリカ) 72.6%
アジアの主要都市
22位 シンガポール(シンガポール) 69.9%
23位 ソウル(韓国) 69.5%
25位 東京(日本) 66.9%
3o位 香港(中国) 62.2%
31位 北京(中国) 61.7%
35位 上海(中国) 59.2%
ランキングでは、ヨーロッパの都市が上位を独占する結果となった。報告書では、このようにヨーロッパ都市の評価が高くなった要因として、歴史的に水害や水資源対策に悩まされてきたヨーロッパで水利技術がバランス良く発達してきたからだとしている。例えば、総合ランク1位となったロッテルダムは、強靭さ1位、効率性15位、水質16位という内訳で、災害時や降水量変動に対する強靭度で世界トップに立つとともに、他の項目でも比較的高い評価を得ている。同様に2位コペンハーゲンは、強靭さ3位、効率性1位、水質13位と、バランスよく高順位を修めた。
水道が幅広く整備されている東京の評価が25位と高くなかったことは意外かもしれない。東京の内訳は見てみると、強靭さ41位、効率性6位、水質27位。まず強靭さについては、津波などによる洪水リスクが高いにもかかわらず、貯水による備蓄が少ない点が評価を下げた。国土が狭く急流河川に依存する東京では地理的制約により貯水が難しく、同様に降雨量が少なくダム貯水量が低下するとすぐに節水を強いられる面があることは否めない。一方で、より不本意に思われるのが水質27位と振るわなかった点だ。東京の飲料水水質が世界でもトップレベルで高く、最近では東京水道局は「東京タップウォータープロジェクト」を実施し、水道水の味をミネラルウォーターと同等にする取り組みまで実施している。確かに飲料水品質としてはヨーロッパ主要都市と同様の世界トップクラスの評価を得たが、日本人の味基準が尺度であれば、東京は他の都市に大きく凌駕できたかもしれない。しかしながら、水質分野でも盲点となったのは、水質が人間だけでなく他の生物にとっても良いものかどうかという点だった。生物多様性という観点での水質においては評価を下げ、また国土が狭いことから止むを得ないが、工業地帯と飲料水用河川が隣接していることについても評価を下げる結果となった。
【参照ページ】Inability to withstand natural disasters and water shortages hampering cities sustainability
【ランキング】Arcadis’ Sustainable Cities Water Index
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