米国の木材・製紙産業を代表する業界団体、American Forest & Paper Association(以下、AF&PA)は7月15日、2014年度のサステナビリティレポートを公表した。今回のレポートでは米国の製紙・パルプ、包装、木材製品産業のバリューチェーン全体における多大な努力により、米国の製造業が掲げるサステナビリティ目標、“Better Practice, Better Planet 2020”の達成に向けて確実に前進していることを示した。
Better Practice, Better Planet 2020は米国の製造業において最も広範囲に渡り定量化されているサステナビリティ目標で、再生紙の促進、エネルギーの有効利用、温室効果ガス削減、持続可能な林業の研究、労働者の安全向上、使用する水量の削減など幅広い分野における目標が設定されている。
2014年度サステナビリティレポートの主な要点は下記の通り。
- 米国で過去5年間に使用された紙の63%が再生利用されており、紙が国内一の再生可能な資源となっている
- 参加企業は温室効果ガス排出量を15%削減するという”Better Practice”の目標をほぼ達成している
- 製紙・パルプ工場は使用エネルギーのほとんどを自己生成しており、かつ再生可能エネルギーとなっている
- 製造業の中では、木材製品産業が二番目に大きなコージェネレーション(熱併給発電:排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出すことで全体のエネルギー効率を高める、新しいエネルギー供給システム)による電力生産者となっている
- AF&PAが支援する違法な森林伐採の禁止に向けた努力が世界中のけん引力となっている
今回のレポート公表にあたり、AF&PAのCEOを務めるDonna Harman氏は、「数々の会社が、世界中の人々に向けた再利用かつ再生可能な商品の製造に励んでいる。彼らのサステナビリティに対する多大な貢献をここに報告できることを誇りに思う」とコメントをした。
また、DomtarのCEOおよびAF&PA の会長を務めるJohn Williams氏は「持続可能な事業慣行を通じて、我々の業界の製品やその材料となる再生可能な資源は現在どちらも豊富に存在し、これらが現在世代および次世代の人々の生活の質を向上することを保証する」と付け加えた。
AF&PAは1993年に設立された米国の木材・製紙産業を代表する業界団体で、加盟企業だけで米国全体の製紙・パルプ産業のおよそ80%、木材建築資材のおよそ50%の製造を担っている。
世界的な人口増加や発展途上国の経済成長に伴う需要増加により、森林資源を一次資源として製品を製造する企業にとって、サステナビリティへの取り組みは喫緊の課題となっている。社会・環境面に大きなインパクトを持つ業界であるだけに、今後も積極的な取り組みに期待したいところだ。
サステナビリティレポートは下記からダウンロード可能。米国内の木材・製紙産業のサステナビリティ目標達成に向けた進捗の概要が分かりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。
【レポートダウンロード】2014 AF&PA Sustainability Report
【団体サイト】American Forest & Paper Association
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら