今回ご紹介するのは、米国の貨物運送企業、ユナイテッド・ パーセル・サービス社(以下、UPS)が制作したサステナブル・パッケージングに関する紹介動画だ。
同社は世界200以上の国と地域で事業を展開する世界最大級の貨物運送企業の一つで、1日あたり1,400万個以上の荷物を取扱っている。また、同社は2011年以降、4年連続でCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)によるS&P 500銘柄企業を対象としたCDLI(Climate Disclosure Leadership Index:気候変動情報開示先進企業リスト)においてトップランキングを獲得するなど、サステナビリティへの積極的な取り組みでも知られている。
そのUPSが現在顧客と一丸となり取り組んでいるのが「サステナブル・パッケージング(持続可能な梱包)」だ。サステナブル・パッケージングは消費財メーカー、小売・流通、物流企業などを中心に大きなサステナビリティ課題の一つとなっており、取り組み次第では大きなコスト削減が見込める分野でもある。
また、パッケージングは企業のみならず私たち個人にも大きく関係する分野でもあり、一人一人が日々の梱包を少し工夫するだけで環境負荷削減に大きく貢献することができる。
しかし、サステナブル・パッケージングという言葉は良く聞くものの、意外にもその具体的な方法については良く分からないという方も多いのではないか。ここでは、UPSがその内容をとても分かりやすく紹介してくれているので、動画の流れに沿って簡単にご紹介していく。
サステナブル・パッケージングがもたらす効果
UPSの使命は、顧客のもとに効率よく、無事に荷物を届けることだ。しかし、同社にとって大切に扱うべきものは荷物だけではない。同社は環境に優しい梱包方法に関する専門知識を顧客と共有することで、顧客と共によりサステナブルな貨物運送の実現を目指している。
梱包を変えるだけでどの程度のインパクトがあるのかと疑問に感じる方もいるかもしれないが、UPSによれば、梱包材料を1ポンド(約450グラム)減らすごとに運送費と材料費が4ドルも削減できるとのことだ。これは同社が1日に取り扱う荷物の数を考えると、環境面だけでなくコスト面で考えても相当なインパクトがあることが分かる。
サステナブル・パッケージングを実現する3つの方法
UPSは、顧客がサステナブル・パッケージングを実践する上で重要となるポイントを3つ紹介している。
- Pack with Care(慎重に梱包する)
- Size and Shape Matter(サイズと形が重要)
- Use Sustainable Packaging & Filler Materials(持続可能な梱包材・詰め物の利用)
ここではそれぞれのポイントについて簡単にご紹介していく。
Pack with Care(慎重に梱包する)
まず1点目として挙げられているのが「慎重に梱包すること」だ。当たり前のようで、実はこの少しの注意がとても大きな違いを生む。なぜなら、梱包が不適切で荷物が欠損してしまうと、返品のために輸送コストが2倍かかるだけでなく、荷物自体も廃棄物になってしまうからだ。また、欠損の防止は顧客満足度向上にもつながるという点でも重要だとしている。
Size and Shape Matter(サイズと形が重要)
2点目は「サイズと形」に関するアドバイスだ。荷物をサイズや形にフィットした箱に梱包することで隙間を最小限に抑えることができ、結果として発泡スチロールなどの隙間材の量を減らし廃棄物の削減につながるという。また、無駄なスペースを無くすことで貨物運送トラックや飛行機により多く荷物を積むことができ、運送効率も高められるとのことだ。
Use Sustainable Packaging & Filler Materials(持続可能な梱包材・詰め物の利用)
そして3点目が「持続可能な梱包材や詰め物の利用」だ。最後は素材そのものに着目した取り組みで、再利用あるいは再生可能な梱包材や詰め物を使用することで、資源の節約に貢献できるとしている。
まとめ
いかがだろうか。上記3項目はいずれも大変シンプルなものだが、「梱包」という一つの作業を変えるだけでも、廃棄物の削減、輸送効率の向上、サステナブル素材の利用など様々な面で効果があることが分かる。UBSにとってのサステナブル・パッケージングは、顧客を巻き込んだバリューチェーン全体に関連するより包括的な取り組みなのだ。
また、UPSはサステナビリティ活動の一環として、各店舗における梱包の専門家による梱包アドバイス、自社ウェブサイト上におけるOnline Packaging Advisorというオンラインアドバイス機能などを提供しており、顧客に対して積極的な情報提供を行っている。
特に、Online Packaging Advisorは顧客が荷物の情報を入力するだけでその荷物の特徴に合わせて梱包のアドバイスをしてくれるという非常に便利な機能だ。
UPSの動画は、普段我々が当たり前のように行っている作業の中にも、コスト削減や環境負荷軽減に貢献できる部分がまだまだ数多くあることに気づかせてくれる。また、顧客への情報発信と啓蒙を通じて自社だけではなく顧客のサステナビリティ向上にも貢献しているというのも同社の優れた点だ。
同社の取り組みの詳細について知りたい方はぜひ下記ページを参考にして頂きたい。
【参考ページ】Packaging Advisor
【参考ページ】Eco Responsible Packaging Program
【企業サイト】UPS
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