社会の変化に応じ、学生がMBA プログラムに求めるものも変化を見せているようだ。
サステナビリティ分野のキャリア開発を支援するNPOのネットインパクトが9月17日に公開した2014年度版の"Business as Unusual:The Social and Environmental Impact Guide to Graduate Programs ? For Students by Students"」によれば、MBA学生の社会・環境問題に対する関心はより高まっているという。
ネットインパクトは持続可能な未来の実現に向けて50,000以上のMBA学生やプロフェッショナルらが集まり、次世代に向けたキャリア支援を展開している世界最大規模のNPOだ。
同団体が毎年発行している”Business as Unusual”は、MBA在学生が世界各国のMBAプログラムを社会・環境面の観点からランキング評価したガイドブックで、2006年に始まり、2014年度版では100を超えるプログラム、3300人の学生の生の声を反映したものとなっている。
ネットインパクトによれば、今回の調査では半数以上の学校が学生からの需要の高まりを受けてソーシャル・インパクトを重視したカリキュラムや実践的な学習プログラムを新たに開発したと回答したとのことだが、学生にとってはそれでもまだ足りないようだ。実際、社会・環境問題とMBAプログラムの統合状況に対する学生の満足度は3年連続で下がり続けているという。
今回のガイドブック発行にあたり、ネットインパクトのCEOを務めるLiz Maw氏は「ここ数年、学生たちはますます社会にインパクトを生み出すことに重点を置くようになってきており、結果として教育に対する期待が高まっている。学生たちは、プログラムを終えるまでに自分の職場、そして世界で社会・環境に変革をもたらす力をしっかり身につけておきたいと考えている」と語った。
2014年度の”Business as Unusual” の主な内容をまとめると、以下の通りだ。
学生は企業に対してより社会・環境面を事業慣行に統合していくことを期待している
93%の学生は、社会・環境面に注力することは長期的なビジネスの成功において非常に重要もしくは不可欠だと回答しており、80%の学生は、その点について企業は5年前と比較してよくなってきていると回答している。
半数以上の学校が社会・環境面を統合に向け新しくカリキュラムを革新した
学生間のメンタープログラムやクラブ、学校、学部間の横断コミュニケーションの増加、ソーシャル・イノベーションを引き起こすためのデザイン思考の採用、より実践的な学習機会の提供などに取り組んでいる。
学生はカリキュラムにもっと社会・環境面の要素を盛り込むように望んでいる
今年の調査は、社会・環境面のカリキュラムへの統合状況についての満足度はおよそ15%低下したことを示している。
学生は社会に良い影響を与えられる仕事のためなら報酬には妥協してよいと考えている
世界に社会・環境面に良い影響を与える仕事であれば報酬の15%は喜んでカットすると回答した学生は83%に達しており、昨年より顕著に増加している。
学生は具体的な就業・インターンシップ機会をより多く求めている
学生たちは、Berkeley HaasのImpact Investing NetworkやLoyola University Chicagoの Microenterprise Consultingコースのように、社会・環境面における具体的なスキル開発機会がある教育に関心を示している。
こうしたMBA学生のニーズに応えるべく、今後は社会・環境にインパクトをもたらすための実践的なスキルが身につくMBAプログラムが増えることが期待される。なお、同ガイドブックは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Business as Unusual
【団体サイト】Net Impact
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら