世界銀行が、世界の企業や金融機関に先駆けて、先進的なサステナビリティ報告の取り組みを推進している。世界銀行は今年の1月、同行が公表した2014年版のサステナビリティレポートを、GRIタクソノミを活用してXRBL対応させたと公表した。
XRBLはeXtensible Business Reporting Languageの略語で、ビジネス文書を電子化する際に、データなどを分析・比較しやすくするために用いられるマークアップ言語のことを指し、XMLの規格をベースに作られている。データ項目ごとに特定のタグをマークアップすることで、異なる複数の文書の中から共通データ項目を検索、取得することが容易になる。
財務報告の分野ではかつてより広く用いられていたが、昨今では非財務報告の分野でも活用の検討が進んでおり、サステナビリティ報告に関する国際ガイドラインのGRIは、2012年にデロイトと共同で「GRIタクソノミ」という非財務データに対応したマークアップ分類を開発し、活用を推進していた。
世界銀行は既にMD&A(Management's Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations)の情報開示においてはXRBLを活用してきたが、今回非財務報告の領域までXRBLを拡張した形になる。
世界銀行が初めてサステナビリティレポートを発行したのは2005年だが、同行はその後も組織のサステナビリティに関する透明性向上に継続的に取り組み続け、現在では完全にウェブ・ベースでESGの取り組みを開示している。また、世界銀行は世界で初めて、かつ唯一、GRIのG4に対応したサステナビリティレポートを作成している国際開発金融機関でもある。
世界銀行のサステナビリティレポートを編集した環境専門家のMonika Kumar氏は、「GRI指標をXRBLタクソノミにタグ付けする作業は、第三者保証の作業をしているようだった。タクソノミはGRI指標の各要素に正確に対応させる必要がある。」と語る。
また、世界銀行グループの渉外・企業担当副社長を務めるCyril Muller氏は「我々は、透明性の面でおいて常にリーダーであろうと努力し続けており、これはサステナビリティ指標の正確な報告にもあてはまる。XBRLの活用は、GRI指標への我々の対応状況の検証をする上でとても重要だ。この作業は、我々がより標準化された、完全なサステナビリティ報告に向けた道のりを定める手助けとなる」と語った。
サステナビリティ報告の普及に伴い企業が公表する非財務情報の量が莫大に増えている中で、XRBLを活用して投資家や監査人、アナリストらがレポート内の情報をより容易に比較・分析できるようにする必要性は今後もますます高まることが予想される。世界銀行の先進的な取り組みに多くの金融機関や企業が続くことを期待したい。同行のレポートは下記から閲覧可能。
【レポート並びにXBRLドキュメント】World Bank Sustainability Review 2014
【団体サイト】World Bank
【参考サイト】GRI "XBRL PROVIDES HIGH-LEVEL OVERVIEW FOR WORLD BANK"
【参考サイト】XRBL.org "World Bank Publishes Sustainability Report in XBRL"
(※写真提供:Mark Van Scyoc / Shutterstock.com)
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