米国のサステナビリティ会計基準を提供しているSustainability Accounting Standards Board(以下、SASB)は6月30日、Consumption I(消費財I)セクターに所属する7つの業界に向けた暫定基準を公表した。同基準は業界ごとのマテリアリティを特定し、企業に重要な影響を及ぼす可能性があるサステナビリティ課題の管理・情報開示を支援するものだ。今回暫定基準が公表された7業界は下記の通り。
- Agricultural Products(農産物)
- Meat, Poultry & Dairy(食肉・乳製品)
- Processed Foods(加工食品)
- Non-Alcoholic Beverages(ノンアルコール飲料)
- Alcoholic Beverages(アルコール飲料)
- Tobacco(タバコ)
- Household & Personal Products(家庭用・個人用製品)
主要な開示項目としては食品の安全性、ラベル・マーケティングのインテグリティ、気候変動適応、サプライチェーンマネジメントなどが含まれる。業界ごとに平均して6項目の開示基準があり、メトリクスの71%が量的なものとなっている。
消費財セクターに属する業界は広範囲に渡るため、SASBはセクターを「消費財Ⅰ」(一次産品が中心)と「消費財Ⅱ」(コンシューマ・グッズ・小売業)の2つに分割している。「消費財Ⅱ」セクターの基準については今年の9月に公表される予定だ。
SASBは基準策定にあたりエビデンスとコンセンサスに基づくプロセスをとっており、消費財セクターのワーキンググループには合計の時価総額1.5兆米ドルに相当する271の上場企業、運用資産8.1兆米ドルに相当する資産運用会社らが参加している。SASBの基準は発行から少なくとも1年間が暫定期間となり、その間にフィードバックを受け付けている。
SASBのファウンダー兼CEOを務めるJean Rogers氏は「消費財産業は多くの生活必需品を生産しているため、彼らの事業の資源強度と人口増加に伴う食品や飲料、家庭用品などの生産需要との間には固有の緊張関係が存在している。SASBの基準は、消費財産業に関わる企業らが水不足やパッケージング、収穫量やコモディティ価格といった気候変動の影響などを含む課題を管理する手助けをするものだ」と語る。
SASB自体は米国のサステナビリティ会計基準だが、SASBが提供する基準は業界別ワーキングループの議論を通じて業界ごとのマテリアリティが特定されているため、米国以外の企業にとっても参考にある点は多くある。興味がある方はぜひ確認して頂きたい。
【参考サイト】Consumption I Standards Download
【参照リリース】SASB Issues Provisional Sustainability Accounting Standards for Consumption Industries
【団体サイト】Sustainability Accounting Standards Board
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