米国サステナビリティ会計基準審議会(以下、SASB)は11月30日、企業がサステナビリティ会計基準を既存事業や財務報告プロセスに導入する際に考慮すべき全体構成および要点についてまとめたガイド、"Implementation Guide for Companies "を公表した。
SASBが同ガイドを公表した背景には、企業と投資家との間の大きなコミュニケーションギャップがある。SASBによると、資源不足や人口爆発、気候変動などのESG課題と事業成長や株価との関係性に対する理解は深まりつつあるものの、80%のCEOが自社はサステナビリティを競合優位性のための手段として取り組んでいると考えている一方で、投資先企業が実際にそれらの対応をできていると考えている投資家は14%しかいないという。
同ガイドのゴールは、財務状況および事業運営に最も影響する可能性が高いサステナビリティ課題の管理に焦点を絞ること、そして投資家の期待とSECの開示基準に対応した報告書作成の支援を行うことで外部向けレポートの質を向上させることの2点だ。
SASBは、企業と投資家に必要なのは「どのサステナビリティ課題が事業にとって最も重要か?」「それらの事業にもたらす影響はどうか?」「どのように自社や競合はそれらの課題に取り組んでいるか?」といった点について、効果的な双方向のコミュニケーションを取ることにあるとしたうえで、そのためのビジネス言語として「会計」が必要不可欠だとしている。
SASBは米国の上場企業向けのサステナビリティ会計基準、SASB standardsの中で、米国証券取引所が定めるForm 10-K(米国企業が提出すべき年次報告書)やForm 20-F(海外企業が提出すべき年次報告書)において投資家に対して比較可能かつ意思決定に役立つ形で効果的にサステナビリティ情報を開示するための基準を示している。
今回発表されたガイドは、このSASB Standardsを既存の事業管理および財務報告書作成プロセスの中に統合する際の手助けになるよう作成されたもので、マテリアリティ評価の実施、情報開示の迅速性と一貫性に関する分析、同業他社の情報公開を基準とした自社評価、現在のパフォーマンス評価、同業他社のパフォーマンスを基準とした自社評価など鍵となる作業の手引きを示している。
SASBはあくまで米国企業向けのものだが、SASBが提示するサステナビリティ会計基準や実行の手引きについてはサステナビリティ情報開示に取り組むどの企業にとっても非常に参考になる。興味がある方はぜひガイドを参照して頂きたい。
【参照リリース】SASB Guidance Helps Create Common Language
【関連サイト】Implementation Guide for Companies
【関連サイト】SASB standards
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