旭化成は5月24日、再生セルロース繊維(キュプラ繊維)「ベンベルグ」を持続可能なビジネスとするため、国連開発計画(UNDP)が2008年に設立し民間企業が参加する「ビジネス行動要請(BCtA)」に参加することを発表した。BCtAは、民間企業がコアビジネスを通じてミレニアム開発目標(MDGs)を推進していくことを目標としており、昨年からは持続可能な開発目標(SDGs)の推進をミッションとしている。旭化成は、2020年までにインドにおけるキュプラ繊維の染色・縫製現場を改善していく。
旭化成は1976年からインドへキュプラ繊維を輸出している。キュプラ繊維はインドの伝統的な女性服であるサリーの原料として適しており、インドはキュプラ繊維の巨大な市場だ。旭化成は2015年までにインドで染色工場3社、縫製工場60社と契約しており、4,300トンのキュプラ繊維を扱っている。2020年までに契約工場の数を、染色工場10社、縫製工場80社に増やし、扱うキュプラ繊維の量も6,000トンに伸ばす計画だ。
旭化成は今回BCtAへの加盟を行い、40万米ドル(約4,300万円)を投じ、2016年から2020年にかけて700人の若者にキュプラ繊維の染色・縫製の技術トレーニングを実施していく。700人のうち75%は女性を対象とする。さらに、キュプラ繊維の原料であるコットンリンターからの繊維抽出、染色、縫製を行う97の中小工場に対して生産性向上につながるプログラムを提供していく。
また、キュプラ繊維の原料となっているコットンリンターは、エコ素材でもある。コットンリンターとは、綿花から綿糸を摘みとったあとに残る種子に絡みついた産毛繊維で、従来は種子とともに廃棄されていた。しかしコットンリンターは吸水性にも優れ、肌触りも良く、今ではサリーの他にも高級スーツの裏地などにも使われている。旭化成は、綿花農家からコットンリンターを正当な価格で購入しており、零細な綿花農家にとっては新たな収入源となっている。旭化成のコットンリンターの購入の取り組みによって、2020年までに農家39万人が恩恵を受けられるという。
【参照ページ】国連開発計画が主導する「ビジネス行動要請(BCtA)」に参加
【参照ページ】Asahi Kasei: Investing in Inclusive Growth
【機関サイト】BCtA
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