【ノルウェー】政府年金基金、西サハラで石油採掘調査の2企業を投資先から排除 2016/07/14 最新ニュース

west-sahara

 ノルウェー政府年金基金(GPEG)の運用を担っているノルウェー銀行(ノルウェーの中央銀行)の倫理審査会は6月28日、米コスモス・エネルギー(Cosmos Energy)と英ケアン・エネルギー(Cairn Energy)を投資先から排除すると発表した。理由は西サハラ沿岸部の炭化水素(石油)の採掘調査活動を通して基本的な倫理基準への重大な違反があり、投資ファンドととして容認できないリスクがあるというもの。

 西サハラは公認された行政権のない非自治地域。元々はスペイン領で、現在はモロッコの実効支配下にある。しかし地域の人々の代表として国連が承認しているポリサリオ戦線(polisario)はこれに抵抗し、「サハラ・アラブ民主共和国」の樹立を宣言している。国連は同地域の帰属を問う住民投票を提案し、これに基づいて1991年以降「国連西サハラ住民投票監視団(MINURSO)」を派遣しているが、有権者認定手続を巡るモロッコとポリサリオ戦線側の対立から、これまで住民投票は実施されておらず、膠着状態のままだ。従ってモロッコ政府は、天然資源も含め、この地域の統治権は所有していない。

 今回、問題となっている2企業の活動は、2006年にコスモス・エネルギーがモロッコの国営石油企業ONHYM(Office National des Hydrocarbures et des Mines)に、西サハラ沿岸部のCap Boujdour地域の石油探鉱についてコンタクトを取ったことに始まる。2013年にコスモス・エネルギーは、ケアンとの間で合弁事業契約を結び、ライセンスの配分は、コスモス・エネルギーが55%、ケアン・エネルギーが20%、残りの持分権はONHYMが所有し、運営主体はコスモス・エネルギーという取り決めが行われた。2013年と2014年に現地での地質探査を行い、2014年に10回の試掘が実施されている。しかし、このような活動が当該地域の環境に配慮していないまま実施されていることが明らかになり、問題が生じている。

 ノルウェー銀行の倫理審査会によるアセスメントは、国連海洋法条約や国連憲章第73条「非自治地域に関する宣言」、その他の資料や根拠に基づいて行われた。非自治地域の自然資源の利用は当該地域の人々の福祉に合致する場合にのみ承認されるというのがその内容。

 同審査会は昨年、企業と広範な対話を行い、さらにモロッコ政府当局および西サハラ地域の人々の代表者であるポリサリオ戦線に所属する人々とも面接した。国連海洋法条約にも基づくコンサルテーションにおいて、企業側は、自らの活動は地域の人々願望と利益に合致していると考えていることを把握。企業側はまだ石油生産を開始しておらず、同地域の石油資源のマッピングをしている状況だと主張。マッピングが西サハラの将来の可能性を示すことにつながり、双方がその可能性に向けて合意するのに役立つかもしれないと考えているという。

 同審査会はこの一連の内容において、採掘調査と天然資源の搾取は区別がつかないと判断した。国連海洋法条約の規定においては区別がつけられず、モロッコ政府による採掘調査の継続の目的が石油資源の搾取であることは疑う余地がなくと判断。2企業は採掘調査を続けるだけか、あるいは同地域での石油生産に参加するかどうかに関わらず、モロッコによる目的の遂行に加担していることが明らかとされた。

 審査会は、今回の採掘調査がポリサリオ戦線との話合いを経ていないことを確認している。企業側は、他のステークホルダーとは対話しているが、ポリサリオ戦線とは対話していない。ポリサリオ戦線側は企業の活動を違法と認識していることを公表し、活動の継続には反対している。審査会としてはこの調査活動が同地域での政治的な膠着状態のままであり、今回の事案が事態の悪化につながりかねないことを重く受け止めている。

 2015年末でGPEGが所有するコスモス・エネルギーの株は1億3,800万クローネ、ケアン・エネルギーは3億3,800万クローネで、所有持分はそれぞれ全体の0.78%、2.85%となっているが、この保有株は売却される。

【参照ページ】Decision on exclusion of companies from the Government Pension Fund Global
【参照ページ】Recommendation to exclude Kosmos Energy Ltd. and Cairn Energy Plc. from the Government Pension Fund Global

Facebookコメント (0)

ページ上部へ戻る