世界経済フォーラム(WEF)は11月2日、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report) 2017」を発表し、毎年発表している2017年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」を公表した。対象は世界144カ国。格差が少ない1位から5位までは、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、ルワンダ、スウェーデン。日本は114位で昨年111位から3つ下がった。その他では、ドイツ12位、英国15位、米国49位、中国100位でいずれも日本より上。韓国は118位だった。この指数では、ジェンダー間の経済的参加度および機会、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメントという4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている。
※括弧内は昨年順位
- アイスランド(1)
- ノルウェー(3)
- フィンランド(2)
- ルワンダ(5)
- スウェーデン(4)
- ニカラグア(10)
- スロヴェニア(8)
- アイルランド(6)
- ニュージーランド(9)
- フィリピン(7)
- フランス(17)
- ドイツ(13)
- ナミビア(14)
- デンマーク(19)
- 英国(20)
- カナダ(35)
- ボリビア(23)
- ブルガリア(41)
- 南アフリカ(15)
- ラトビア(20)
ランキングは上位は北欧諸国。アイスランドは9年連続で首位の座についた。北欧諸国は、評価指標のうち最も差が出やすい「政治的エンパワーメント」で非常に高いスコアを叩き出している。また次に差が出やすい「経済的参加度および機会」でもスコアが高い。一方、「教育達成度」と「健康と生存」では、首位アイスランドから114位日本までの間ではほとんど差が出ていない。北欧諸国の中では相対的に順位の低い14位デンマークは「政治的エンパワーメント」が足を引っ張っている。逆に、上位にいるルワンダ、ブルンジ、ナミビア等のアフリカ発展途上国は、内戦の影響で男性が多数命を落とした結果、女性の政治家や従業員割合が多くなり、「政治的エンパワーメント」と「経済的参加度および機会」のスコアが高い。
日本は、2015年が101位、2016年が111、2017年が114位とどんどん順位を落としている。日本の評価は、項目ごとに優劣がはっきりしている。読み書き能力、初等教育、中等教育(中学校・高校)、平均余命の分野では、男女間に不平等は見られないという評価で昨年同様世界1位のランク。一方、労働賃金、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)、国会議員数では、男女間に差が大きいとの評価で世界ランクがいずれも100位以下。その中でも、最も低いのが国会議員数で世界129位。その他の項目でも50位を超えるランクは一つもない。全体順位114位という結果は、G7諸国とロシアを含む先進8ヶ国の中で断トツの最下位。中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育と教授・専門職では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率、平均余命では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国家議員数ランクは61位と日本よりもかなり高い。
日本は、厚生労働省が旗を振り、企業も性別ダイバーシティに力を入れているが、毎年順位が落ちていく。一般的な報道では企業の女性管理職比率ばかりが注目されるが、大学や国会議員も同じぐらい足を引っ張っていることを忘れてはいけない。ダイバーシティ不足を指摘する為政者や専門家こそがまず範を示すべきではないだろうか。
【レポート】The Global Gender Gap Report 2017
【参照ページ】Global Gender Gap Report 2017
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