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【シンガポール】政府、カーボンプライシング法案のパブコメ募集。大企業にCO2排出課税

 シンガポール環境水資源省は10月31日、同国にカーボンプライシング(炭素価格)制度を導入する法案の2回目のパブリックコメント募集を開始した。募集締切は12月8日。カーボンプライシング制度導入については今年年初に財務相が財政演説の中で言及。同法案は、カーボンプライシング制度に関する測定、報告、認定等のフレームワークを定めている。シンガポール政府は、パリ協定のもとで、2030年までにGDP当たりの二酸化炭素排出量を2005年比36%削減することを目標としている。

 シンガポールではすでに、エネルギー保全法の下で、大企業に対し二酸化炭素排出量の報告を義務化している。今回のカーボンプライシング制度は、企業の負担を減らすため、このエネルギー保全法と整合性を持たせる形で導入していく。現行のエネルギー保全法は、年間の二酸化炭素排出量が2,000t以上の事業所に対し、6月30日までに施設を政府に登録し、翌6月30日までに前年の二酸化炭素排出量を報告しなければいけないと定めている。今回の新法の報告制度もこの制度をそのまま流用する。

 新法は、報告義務に加え、二酸化炭素排出量が年間25,000t以上の事業所に対し、2019年より排出量に応じた支払義務を課す。支払は、直接政府に納税するのではなく、国家環境庁(NEA)が発行する固定価格の炭素クレジットを購入するという手法を採る。炭素クレジット価格は、二酸化炭素排出量1t当たり10シンガポールドルから20シンガポールドル。正式な価格は、同制度導入時に決定する。この制度が導入されると、6月30日までに適用事業者は政府に届出を行い、12月31日までに二酸化炭素排出量モニタリング計画も提出しなければならない。そして、翌年6月30日までに独立した第三者機関の保証を得た上で、排出量を政府に報告し、同9月30日までにクレジットを購入しなければなない。

 一度、カーボンプライシング適用された事業所は、年間排出量が3年続けて25,000t未満となると適用から除外される。特殊な事情により大幅に二酸化炭素排出量が削減されたとNEAが認める場合には翌年から適用除外されるという道も設けられた。

 課税義務を履行しない企業は、3倍の懲罰課税が科せられる。二酸化炭素排出量を意図的に偽った場合は、最大3年間の禁固刑が科せられる。

 政府は、カーボンプライシング制度から得られる歳入を、経済界の二酸化炭素排出予算として歳出していく考え。

 首相府直下の国家気候変動事務局(NCCS)は、今回の制度導入で電力事業者が排出課税されることで、一般家庭も電力料金が上がる可能性があると認めている。NCCSの試算によると毎月の増加額は、1.7シンガポールドル(約143円)から3.3シンガポールドル(約277円)となる見込み。シンガポールでは、年々、電力小売自由化が進んでおり、来年の半ばまでには、20万社を超える中小企業と一般家庭130万世帯にも電力小売が自由化される。排出課税がなされると、排出量の少ない電力事業者の電気料金が安くなるため、国全体での排出量削減が期待できる。

【参考】【シンガポール】スタートアップElectrify、電力小売マッチングサービス開始。海外進出も視野(2017年7月30日)

【法令】Public Consultation Paper for Draft Carbon Pricing Bill

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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