国際NGOウォーターエイドは3月20日、3月22日の「国連世界水の日」に向け、世界の水の状況を分析した報告書の第3弾「水の格差」を発行した。同報告書は、世界8億4,400万人が清潔な飲料水にアクセスできていないと報告。最貧困層が清潔な水を利用できない理由を分析した。
国連児童基金(UNICEF)と世界保健機関(WHO)の共同モニタリング・プログラム(JMP)は水へのアクセスを5段階で評価している。最もアクセスできる状態は、水道インフラが整備され蛇口で清潔な水にアクセスできる状態で、2015年時点で世界52億人(世界人口の71%)がこのレベルにいる。次の段階が、雨水貯蔵、覆いのある井戸、給水車、ペットボトル水等のインフラが往復30分以内にある状態で、13億人(世界人口の17%)がこのレベル。ウォーターエイドは、この2段階までを水にアクセスできると定義。世界で約89%が清潔な水にアクセスできている。2000年の81%から8ポイント増加した。
上から3段階目は、往復30分以上をかけて雨水貯蔵、覆いのある井戸、給水車、ペットボトル水等のインフラにアクセスできるレベルで、約2.9億人(世界人口の4%)。上から4段階目は、覆いのない手掘り井戸や保護されていない水源に依存している人で約4.2億人(世界人口の6%)。最後の5段階目が、不衛生な川、湖、池、運河等の水に頼っている人で約1.3億人(世界人口の2%)。合計で約8.4億人(世界人口の11%)が清潔な飲料水にアクセスできていない。
ウォーターエイドは、アクセスできていない要因として、「資金不足と政治における優先的取り組みの欠如」「給水サービスを提供・維持できる機関の欠如」「有効な税制・料金制度の欠如」「住む場所と住む権利」「差別」「災害と退去・堆肥」の6つを挙げた。
(出所)ウォーターエイド
水アクセスの割合が低い国は、エリトリア、パプアニューギニア、ウガンダ、エチオピア、コンゴ民主共和国、ソマリア、アンゴラ、チャド等、アフリカ諸国がほぼ独占。内乱や難民等の社会不安や気候変動等の環境影響が大きい。
水アクセスの低い地域では、女性が30分以上離れた水源への水くみに、年間2か月半もの時間を費やしている。また毎年5歳以下の子供約29万人が清潔な水へのアクセスがないことで命を落としている。
【参照ページ】3/22世界水の日に報告書を発表
【参照ページ】Drinking water
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