国連責任投資原則(PRI)とCFA協会は9月13日、株式と債券でのESGインテグレーションに関するベストプラクティスをまとめたレポートを発表した。同レポートには、世界中のCFA協会会員を中心とした金融専門家約1,100に対するアンケート調査結果の他、30個のケーススタディを掲載。ブルームバーグのESG企業開示スコアやPRIへの年次報告書を活用し、ベストプラクティスをまとめた。
今回のレポート作成のため、PRIとCFA協会は世界23ヶ所でワークショップを開催。米州では、米国、カナダ、ブラジル。アジア太平洋地域では、日本、中国、香港、シンガポール、オーストラリア、インド。欧州・中東・アフリカでは、英国、フランス、ドイツ、オランダ、スイス、ロシア、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)。実施されたケーススタディは、米国や英国のものが多いが、日本についてはニッセイアセットマネジメントの工業セクター株式投資の事例が紹介された。
今回のレポートの大きな特徴は、ESGインテグレーションの概念整理を行った点。ESGインテグレーションは一般的に、ネガティブスクリーニングやテーマ型投資とともにESG投資戦略の一つとされている。しかしESGインテグレーションの内容が曖昧との意見も多い。今回PRIとCFA協会は、概念フレームワークを提示。このフレームワークは、完璧なESGインテグレーションのあり方を示したものではなく、あくまで既存の機関投資家の事例から抽出したものと位置づけているものの、自社でのESGインテグレーション分析をする上で有用だろうとしている。
(出所)PRI
同レポートの構成は、ESGインテグレーション・フレームワークの内容解説と30のケーススタディの紹介の主に2本立て。ケーススタディでは、株式投資では、ゴールドマン・サックス・グループ、アクサ・インベストメント・マネージャーズ・アジア、オールド・ミューチュアル・インベストメント・グループ、マニュライフ・アセット・マネジメント、NNインベストメント・パートナーズ、MFSインベストメント・マネジメント、イーストスプリング・インベストメンツ等が、債券投資では、Robeco、ピムコ、UBSアセット・マネジメント、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント等が取り上げられた。
同時にPRIとCFA協会は、米州、アジア太平洋、欧州・中東・アフリカの3地域毎の現状とデータをまとめた報告書も作成。今回同時に米州のものが発表され、米国、カナダ、ブラジルの国別分析もなされた。残り2つの地域の報告書については今後発行される。
【参照ページ】Guidance and case studies for ESG integration: equities and fixed income
【参照ページ】ESG integration in the Americas: markets, practices, and data
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