金融庁は2月1日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、農林中央金庫、ゆうちょ銀行の大手7銀行に対し、ローン担保証券(CLO)投資に関する一斉調査を実施した。米紙ブルームバーグが2月28日、報じた。
CLOは、法人向けローンを裏付け資産とするデリバティブ商品。特に、信用格付がBB以下のローン「レバレッジド・ローン」を裏付け資産としているものが多い。CLOは、利回りが高いことから、機関投資家の人気を集め、2018年の発行額は過去最大。しかし、米連邦準備制度(FED)の利上げ観測が後退する中、CLOの発行も増加したこと等の影響を受け、2018年後半から価格が下落。米国の運用会社もCLOから離れる動きが出ていた。また、CLOは、リーマンショックを引き起こしたデリバティブ商品と同様、原資産の把握が難しくなりやすく、最終商品のリスク算定の信頼性が落ちやすい。そのため、イエレン前連邦準備制度理事会議長やエリザベス・ウォーレン上院議員も2018年末からCLOのリスクに警鐘を鳴らし始めていた。
一方で、日本の銀行は、CLOの世界的な買い手となっている。日本の銀行は、マイナス金利政策による国内債券市場の価格低迷、米国債券市場の価格低迷、株式市場のボラティリティ増加の動きを受け、金利の高い債券型商品へと傾斜。しかし、リスク基準を厳しくしている日本の銀行の多くは、信用格付AAAのローンのみを裏付け資産とするCLOを多く保有しているとみられる。現在、世界のAAA格付CLOの3分の1は日本の銀行が保有しているとの見方もある。
金融庁は今回、CLOがシステミックリスクを引き起こす可能性を考慮し、リスク分析や監視システム等のマネジメント状況を調査した模様。特に、CLO投資残高の多い農林中央金庫、ゆうちょ銀行、MUFGに対しては重点的に調査したという。金融庁は、2、3カ月後にも再度一斉点検する方針。
【参考】金融庁が3メガ銀や農林中金など一斉調査、CLO投資で
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