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【日本】リクルートキャリア、新卒選考・内定辞退可能性提供サービス廃止。個人情報取扱いへの示唆

 リクルートキャリアは8月5日、登録学生の選考・内定辞退可能性を採用企業側に提供するサービス「リクナビDMPフォロー」の廃止を発表した。同サービスについては、個人情報の第三者提供に関する同意未取得というプライバシー観点での問題とともに、同意していたとしても学生が不満を抱く形での第三者提供という問題も発生していた。

 同サービスは、就活情報サイト「リクナビ2020」の登録学生が対象となり、2018年3月に開始。38社が試験運用に参加していた。具体的な仕組みは、「当該採用企業における前年度の応募学生のリクナビ上での行動ログなどのデータを解析の対象に、その企業に対する応募行動についてのアルゴリズムを作成」「そこに、今年度に当該採用企業に応募する学生の行動ログを照合。その結果を「採用選考のプロセスが途絶えてしまう可能性」として企業に提示する」というもの。「今年度」の応募学生については、選考中に先行・内定辞退可能性がアルゴリズムにより5段階で算出され、選考企業側に伝えられる仕組みとなっていた。リクルートキャリアは、「学生の応募意思を尊重し、合否の判定には当該データを活用しないことを企業に参画同意書として確約いただいてい」たと説明している。「リクナビ2021」の登録学生は対象とはなっていなかった。

 問題の一つとなった個人情報の同意未取得は、7月31日に報道機関が報じ、明るみとなった。原因は、2019年3月にプライバシーポリシーを変更した際に、プレエントリー・イベント予約・説明会予約・ウェブテスト受検等の機能を利用した登録学生に対してはそのタイミングで同意が取得できていたが、それら機能を利用していない登録学生については、未取得のままとなるサービスフローとなっていた。同意未取得の学生は7,983人いた。同社は同日、「関係各所から当社のプライバシーポリシーの表現が学生に伝わりにくいものとなっているのではないかとご意見をいただ」いたとし、サービス廃止を決定した。

 「リクナビ2020」にエントリーしていない登録学生の情報が、選考中の企業に伝わっていた事情については、「リクナビ2020」以外の手段でエントリーをした学生の情報を、選考企業からリクルートキャリアに共有されるよう業務委託契約を締結。リクルートキャリア側で「リクナビ2020」上の登録学生の情報と照合していた模様。

 また、8月1日時点では、「個人情報保護法には違反していないと考えているが、学生の個人情報の企業への提供について、よりわかりやすい表現や説明方法を検討する」としていたが、8月2日夜に上記の個人情報同意取得不備が判明。8月5日に事実を公表した。その中で、「学生の皆さまの『不安』『怖い』『裏切られた』といった言葉に触れることで、学生の皆さまの心情に対する当社の認識欠如こそが、根本的な課題であると認識するに至」った明記し、対応としては真摯な受け止め方を示した。「学生の皆さまの心情やご状況を十分に踏まえたサービス設計・経営判断ができていなかったという強い反省」という言葉にも言及した。参加していた38社に対しては、分析スコア等の個人情報の破棄を依頼したことを明らかにした。

 今回の問題は、テクノロジーの発展に伴い、ビックデータを用いた示唆の導出やパーソナライズされた情報提供が可能となる一方、個人情報利用の同意取得だけでなく、第三者利用の同意を取得した個人情報の活用方法についても、慎重に考慮する必要があることを示唆する事案となった。

【参照ページ】『リクナビDMPフォロー』における学生7983名を対象としたプライバシーポリシー同意取得の不備と、サービスの廃止につきまして
【参照ページ】当社サービスに関する、一部の報道につきまして

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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