国連環境計画(UNEP)等が参加する生物多様性プロジェクト「IBAT Alliance」は8月20日、生物多様性リスク測定ツール「IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)」を活用している法人が合計70を越えたと発表した。具体的には、米国電子工業会(Electronic Industries Alliance)の「Scoping」フェーズや、銀行の環境リスク・スクリーニング、アニュアルレポート用の生物多様性情報の取得等に活用されている。個人も約30人が活用している。
IBAT Allianceに参加している機関は、UNEPの下部組織である世界自然保全モニタリングセンター(WCMC)他、国際環境NGOの国際自然保護連合(IUCN)、コンサベーション・インターナショナル(CI)、バードライフ・インターナショナルの合計4機関。
「生物多様性の喪失」は2019年現在、世界が面している課題のワースト10に挙げられる。例えば、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の5月報告書でも、生物多様性の毀損は世界中の全生態系に認められるとされる。
【参考】【国際】OECD、生物多様性保護に向けたビジネス・金融のあり方提示。IPBES報告書を踏まえ
IBAT Toolでは、生物多様性リスクの測定に際し、3つの信頼性の高いグローバルのデータセットを活用できる開発されている。
世界保護地域データベース(WDPA)
保護地域に関する最も包括的なグローバルデータベースで、月次更新される。
生物多様性の鍵となる地域に関する世界データベース(WDKBA)
グローバルでの生物多様性の持続に向けて重要な全てのデータを集積する。
絶滅危惧種のIUCNレッドリスト
動物、菌類、植物種のグローバルでの保全状況と、人間の生活の結びつきに関する世界で最も包括的な情報源。
IBTを活用することで、これらのデータセットから取得した生データやリスク測定結果を、CSVやPDF等の様々な形式でエクスポートできる。例えば、世界銀行の生物多様性リスクレポートや淡水レポート等のテンプレートに合わせた形式にすることも可能。今後は、年次サステナビリティレポートに生物多様性に係る情報の掲載が簡単にできるように改良を重ねている。
同ツールは既にリオ・ティントや、ロイヤル・ダッチ・シェル、BP、JPモルガン・チェース、世界銀行グループ等を始めとする70以上の企業・機関に活用されている。またパブリックコメントも受け付けており、今後も新機能の追加を含めた改良を続ける見込み。
【機関サイト】IBAT Alliance
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