英環境NGOグローバル・キャノピーは2月12日、企業や金融機関の森林破壊への間接関与を分析した年次報告書の2020年版を発表した。日本企業も多数が森林破壊防止の対応ができていないとして対応を要求した。
2010年以降、グローバル企業や金融機関から、2020年までにサプライチェーンから森林伐採を一切なくす「森林破壊ゼロ」を自主宣言することが増えたため、グローバル・キャンピーは2014年から毎年モニタリング・レポートを発表している。
今回分析対象となったのは、事業会社350社と金融機関150社。いずれも森林破壊を引き起こす6つ主要なコモディティ(パーム油、大豆、畜牛品、皮製品、木材、紙パルプ)の分野での主要企業。対象となった金融機関は投融資の分野の世界大手企業。GCPは2019年7月15日から10月22日にかけて、公開情報を基に、森林保護の取り組みを評価した。
GCPによると、事業会社140社(40%)と金融機関102社(68%)は、サプライチェーンおよび投融資での森林保護を対外的に宣言しておらず、事業会社75社(21%)は、6品目のうち1品目しか森林保護の対象にしていなかった。また、2018年に「2020年までの森林破壊ゼロ」を対外的に宣言した157社のうち、ヤクルトを含む4社はその公約を完全に撤回したという。事業会社86社(25%)と金融機関28社(19%)のみが、生産、調達、資金調達におけるすべてのコモディティに森林破壊ゼロを実施していた。
今回、6品目のそれぞれで最高スコアを獲得したは、パーム油はケロッグ、大豆はネスレ、牛肉はカルフール、皮革はケリング、木材はイケア、紙・パルプはキンバリークラーク。
一方、対策がないとして批判された企業には、キッコーマン、ミツカン・ホールディングス、ニトリホールディングス、ヤクルト本社、山崎製パン、読売新聞社、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、農林中央金庫、オリックス。海外では、アマゾン、ブラックロック、バンガード、ステート・ストリート、フィデリティ・インベスメンツ等も批判された。
2020年の森林破壊ゼロが謳わえて、今年が期限の2020年を迎える。同NGOは、企業による自主宣言は失敗に終わったと結論づけた。自主宣言をしている企業の中には、リスク回避の姿勢の後退、透明性の欠如、潜在的なグリーンウォッシングがあると強調した。
GCPは、森林破壊ゼロを止めるには、企業のサプライチェーンと投融資での森林破壊リスク評価・報告を義務付けるデューデリジェンスの法制化が必要との立場を示している。EUでは法制化が検討されている。
【参照ページ】Global brands ignoring deforestation caused by commodities they use
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