欧州委員会は5月7日、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CTF)を強化する新たなアクションプラン案を採択した。同時に、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)との協調を深めるため、高リスク国を特定するための手法の改定も採択した。
今回策定したアクションプラン案は、今後12ヶ月間の具体的な強化アクションを定めたもの。全部で6つの柱で構成している。内容は、「現行ルールの効果的な導入」「EU統一ルールブック」「EUレベル監督」「金融インテリジェンス・ユニットとの共同メカニズム支援」「刑法履行のための情報活用の改善」「世界の中でのEUの存在感強化」。7月29日までパブリックコメントを募集する。
現行ルールの強化では、欧州銀行監督局(EBA)を中心とした、マネーロンダリング防止体制を構築していく。すでにEBAは2019年にEU規則で、マネーロンダリング対策を主導する役割が与えられ、EU域内の金融機関に対し、加盟国金融当局を飛び越えて、直接的に監督・指導する権限が与えられた。2月にはEBAから最初の報告書も発表されている。今回のアクションプランでは、EBAの役割強化を対策の中心に据えた。
また現行では、EU加盟国単位で金融規制が導入されている体制を改め、2021年第1四半期に欧州委員会が統一的なルールブックを発表するとともに、欧州委員会による監督制度も導入する。また、金融犯罪を所管している加盟国の部局間で強調するメカニズムも同時期に立ち上げる。またデータ共有のための官民連携ガイダンスも発行する。
世界でのEU存在感強化では、FATFと協調し、国際基準をリードするため、新たな高リスク国の特定手法を改定。EUとFATFのリスト作成プロセスを相互に確認しあい、高リスト国対するエンゲージメントも強化する。また、欧州議会とEU理事会が、関連情報にアクセスできるようにもする。
それに伴い今回、アクションプランの最終採択より一足先に、高リスク国リストを更新した。高リスク国と定められたのは、バハマ、バルバドス、ボツワナ、カンボジア、ガーナ、ジャマイカ、モーリシャス、モンゴル、ミャンマー、ニカラグア、パナマ、ジンバブエ。一方、リストから削除されたのは、ボスニア・ヘルツェゴビナ、エチオピア、ガイアナ、ラオス、スリランカ、チュニジア。
【参照ページ】Commission steps up fight against money laundering and terrorist financing
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