国連環境計画(UNEP)の「環境と貿易ハブ」は4月12日、新型コロナウイルス・パンデミックによる貿易への影響をまとめたショート・レポートを発表。経済復興フェーズにおける提言も実施した。
環境と貿易ハブは、国連持続可能な開発目標(SDGs)での環境目標を達成するための貿易を促進するために2015年に設立。各国の支援を実施している。
今回のレポートでは、世界貿易機関(WTO)の発表では、2020年に貿易額は13%から32%も減少し、国連貿易開発会議(UNCTAD)からも海外直接投資(FDI)は40%も下落する可能性が指摘されていることを紹介。サプライチェーンが大きく寸断していることを課題として捉えた。
気候変動への影響でも、短期的には物流や交通の寸断で、二酸化炭素排出量は減少したものの、再生可能エネルギーの開発や低炭素への移行に向けた投資が細る可能性があるとともに、石油価格の暴落で再生可能エネルギーの発電コストも大きな圧力がかかると現状認識を伝えた。また、貿易の分野でも、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、国際会議が中止となり、サーキュラーエコノミー化に向けた議論も同時にストップしている。
その上でUNEPは、パンデミックからの経済復興フェーズは、短期的な経済刺激策と、長期的な経済・貿易システムをレジリエントなものにするための再構築の2つがあると言及し、提言をまとめた。提言の中では、経済活動を「元に戻す」のではなく、気候変動対策を重視する「グリーンリカバリー」、パンデミック対策商品の貿易・流通促進を組み合わせる経済復興、人獣共通感染症のリスクを下げるための密猟・違法マーケットの撲滅、持続可能なフードチェーンの構築、貿易による発展途上国援助を行う「Aid for Trade」の推進等を掲げた。
【参照ページ】COVID-19: Implications for Trade and Environment
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