機関投資家の間で、投資意思決定プロセスにおいて、投資先の環境や社会分野の情報開示のレビューを公式に組み込んでいるところが過去2年間で大幅に増加していたことがわかった。2018年の32%から2020年には73%へと大きく増加していた。
今回の調査結果は、コンサルティング大手EYのCCaSS(Climate Change and Sustainability Services)チームがまとめている22020年度の機関投資家調査が7月22日に発表したもの。今年の調査は2月に実施。298の機関投資家が回答した。地域配分は、欧州・中東・アフリカ・インドが44%、アジア31%、北米13%、中南米10%。業種別では、銀行33%、保険会社26%、運用会社11%、私的年金基金10%、ファミリーオフィス7%、公的年金基金5%、財団4%、大学基金3%、政府系ファンド1%。機関投資家調査ながら、銀行の割合が大きく、公的年金基金や運用会社に割合が大きいことには留意が必要。
ESG投資の分野では、「ESGを考慮する」という漠然としたものから、どれだけ公式にESGレビューを投資意思決定のプロセスの中に組み入れているのかに着目されるようになってきている。
同調査では、公式レビューの導入状況について、方法論を確立し公式レビューを行っている機関投資家の割合が、2018年の32%から、2020年には73%へと大幅に上昇した。一方、非公式にレビューをしている機関投資家までを含めると、2018年の97%から2020年の98%へとほぼ横ばいだった。すなわち、レビューの非公式プロセスから公式プロセスへの移行が過去2年間で大きく進んだことがわかった。特に、ESG投資の開始が早かった公的年金基金や保険会社ではなく、銀行や私的年金基金の比率が高い同調査でこのような結果となったことは、ESGの公式レビュー実施が幅広く定着してきたことを伺わせるものとなった。
反面、企業が適切にESG情報を開示していないと回答した機関投資家の割合も大きく高まり、企業に対する要求事項は強まっていることもわかった。ESG別では、Eの開示が不十分との回答が、2018年から20%から2020年には34%に増加。同様に、Sでも21%から41%に、Gでも16%から42%へと上がった。
【参照ページ】How will ESG performance shape your future?
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