飲料世界大手米モルソン・クアーズは9月30日、クラフトビール醸造をよりインクルーシブにするため、傘下のTenth & Blakeと協働し、マイノリティ学生向けの「Tenth & Blake醸造教育奨学金基金」を創設すると発表した。
同基金の設立は、Tenth & Blakeの子ブランド「テラピン・ビール」のCEOが、マイノリティ差別に端を発した今春の米国での暴動を機に、ミドル・テネシー州立大学の発酵科学プログラムにマイノリティ学生向けの奨学金プログラムを発足したことがきっかけ。発酵科学はビール製造と密接な分野。同大学は、奨学金プログラムに賛同し、創設プロジェクトが動き出した。
同基金は、ジョージア州、オレゴン州、コロラド州にあるTenth & Blakeの醸造所に近接するミドル・テネシー州立大学、オレゴン州立大学、コロラド州立大学を対象に、一人当たり1万米ドル(約105万円)相当の奨学金プログラムを提供。発酵科学の学位を求める有色人種(ラテン系、アフリカ系、アジア系、太平洋諸島系、ネイティブアメリカン)およびLGBTQ +の学生を支援する。希望の学生は、2021年から申請可能。奨学金受賞者は、大学3年から4年にかけてフルタイムの有給インターンシップの機会を得る。
同奨学金の資金は、モルソン・クアーズの社会正義イニシアチブから拠出。同イニシアチブでは、「社会正義」「公平性」「エンパワーメント」に焦点を当て、24機関の支援に150万米ドル(約1.6億円)を寄付している。
同社では、ダイバーシティ&インクルージョンを重要な課題とし、よりインクルーシブな文化を構築し、ダイバーシティを高めるための行動計画を設計。高度なスキルを持つ多様な人材に魅力のあるリーダーシップ開発プログラムの構築や、方針の策定も行った。
クラフトビール市場は、米国で成長を続けており、米国全土に醸造所7,500以上、従業員16万以上が存在する。しかし、醸造協会の分析によると、アフリカ系米国人は、醸造所オーナーの1%、醸造所従業員の1%未満であり、人口割合の13%対し、非常に少ないという。
こうした現状を受け、モルソン・クアーズ以外もアクションを強化している。ブルックリン・ブルワリーの醸造家ギャレットオリバー氏は、アフリカ系米国人、有色人種、先住民の支援を目的として、マイケル・ジャクソン醸造&蒸留財団を設立。コンステレーション・ブランズは6月、醸造におけるマイノリティ問題解消のため、10年間にわたり1億ドル(約105億円)を投じると発表した。アンハイザー・ブッシュは、醸造業界でのアフリカ系米国人割合を増加させるため、今後5年間で30人分の年間奨学金拠出を行う。また、醸造協会は、醸造所での差別や嫌がらせの特定・排除に役立つ行動規範を発表している。
【参照ページ】Tenth & Blake seeds scholarships at three universities to increase diversity in craft brewing
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