国連食糧農業機関(FAO)は12月16日、2020年に猛威を奮っているサバクトビバッタ蝗害問題について、東アフリカとイエメンで新世代の群が再び大規模蝗害を発生させるリスクが高まっていると警鐘を鳴らした。
今年前半から深刻になった蝗害は、FAO、他の国際機関、各国等により過去最大の対策が講じられ、10ヶ国で合計130万haでの殺虫作業が行われてきた。それでも、喪失した穀物は推定270万tで、被害額に換算すると8億米ドル。1,800万人分の食糧が失われた形となる。これにより、東アフリカや中東では、飢餓人口が3,500万人を突破している。
しかしそれでもサバクトビバッタの大繁殖は収まっていない。11月にはソマリア史上最強のサイクロン「ガティ」がソマリア北部で大洪水を引き起こしたことがサバクトビバッタの繁殖の好条件となり、今後数ヶ月で新たな大繁殖が予想されている。すでに一部はケニア北部に再び襲来し、エリトリア、サウジアラビア、スーダン、イエメンで大規模な産卵が続いているという。
2020年のサバクトビバッタ蝗害対策で、各国からの支援金は2億米ドルを超えている。監視や対策では1,500人が訓練を受け、現場に展開。殺虫剤散布機を搭載した車両110台と、航空機20機も現場で活動を展開している。しかしFAOは、追加で4,000万米ドルの資金が必要と既に発表。追加資金がなければ、2021年1月から対策活動がペースダウンしてしまう。飢餓人口も3,500万にからさらに3,900万人へと増加するとの予測も出している。
また被害国での経済支援も必要となっており、生活支援を受けた人は20万人以上。FAOは2021年前半にさらに9.8万人を支援することを検討しているが、それにも資金が必要。被害農家に対する作付支援や家畜支援、獣医派遣等の需要も出ている。
FAOは、支援金の拠出者として、米国、英国、EU、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、スイス、ロシア、カナダ、中国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、世界銀行、アフリカ開発銀行(AfDB)、国連人道問題調整事務所の中央緊急対応基金(CERF)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、マスターカード財団、ルイ・ドレフュス財団、アフリカ連帯信託基金の名を挙げた。
【参照ページ】Desert Locust upsurge continues to threaten food security in Horn of Africa and Yemen despite intense efforts
【画像】FAO
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