国連環境計画(UNEP)は11月9日から11月13日まで、第4回海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する専門家会合(AHEG-4)を開催。海洋プラスチック汚染問題についての対策課題と対策オプションを総括した。成果報告書は2021年2月に開催される第5回国連環境総会(UNEA5)に送られる。
海洋プラスチック問題では、UNEPは2018年にAHEG-2を開催し、2019年に開催されたUNEA4で内容が報告された。UNEA4では、科学的知見や国際レベルの協調の強化、情報共有の機会の設定等の必要性について議論が行われたが、UNEA5までAHEGを延長することが決定。AHEG-4には、79ヶ国・地域が参加し、議長は日本の環境省が務めた。
AHEG-4では、既存の取組の整理や、対策オプションの有効性分析の成果検討が主要な議題となった。対策オプションでは、8つが特定され、成熟度、実現可能性、時間枠、影響度の観点から有効性の分析が行われた。オプションの内容は、
- 現在の国際的枠組の強化
- 国際的デザイン基準の開発
- 新たな国際的枠組
- 地域的枠組の強化
- 地域的な海洋ごみ行動計画の策定と実施
- 国家海洋ごみ行動計画
- 規制及び市場ベースの手法を活用した固形廃棄物管理サービスの強化
- マイクロプラスチック防止の国家戦略
8つのオプションに関しては、いずれかにフォーカスするのではなく、対策オプションが相互に連関していることを確認。柔軟に複数のオプションを展開していくことが必要という考えとなった。
その上で、UNEA5に向けてさらに検討すべき対策オプションとして、新たに8つが位置づけられた。
- 国際的な共通ビジョン
- 国家行動計画とその実施
- 国内行動を促進するための地域的・国際的な協力
- 科学的基盤
- マルチステークホルダーの関与
- 既存の仕組みの強化
- 新たな国際的な仕組み
- 仕組み間の調整の強化
マルチステークホルダーの関与では、候補として、UNEPが運営するマルチステークホルダー・プラットフォーム、化学物質の管理についての取組を支援できる「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」、バーゼル条約の下でのパートナーシップ、ストックテイキング作業に基づくオンライン・プラットフォームの4つが挙げられた。
国家行動計画では、上流(持続可能な生産・消費を含む)から下流(環境に配慮した廃棄物管理を含む)までのプラスチックのライフサイクルのすべての段階を可能な限り対象とする計画の策定が必要との考えで一致した。
新たな国際的な仕組みでは、国際及び国別の削減目標、デザイン基準、回避可能なプラスチック製品の段階的廃絶等が盛り込まれた。今後、政府間交渉の中で具体的な規制スキームが誕生する可能性が出てきた。
また、G20でも、11月30日、2020年の議長国サウジアラビアの環境・水資源・農業省を、日本の環境省が支援する形で、「第2次G20海洋プラスチックごみ対策報告書」が発行された。こちらは、2019年6月のG20大阪サミットで2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に基づくもの。2019年10月に第1次報告書が発行され、今回が第2次報告書となった。
【参照ページ】Ad hoc open-ended expert group on marine litter and microplastics
【参照ページ】第4回国連海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する専門家会合の結果について
【参照ページ】4th Meeting of the Ad-hoc Open-ended Expert Group on Marine Litter and Microplastics (AHEG-4)
【参照ページ】G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組に基づく、第2次G20海洋プラスチックごみ対策報告書の公表について
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