米エネルギー省は11月12日、「水素プログラム計画」を発表。同省横断の水素研究、開発、実証活動のフレームワークを示した。同計画は、現トランプ政権下でまとめられたプログラム。発表された文書には「気候変動」という文言は一切ないが、部分的に「ゼロエミッション」という表現は用いた。気候変動を政策の根幹に据えているジョー・バイデン大統領候補が2021年に政権に付くと、さらに踏み込んだ計画が示される可能性がある。
同文書では、水素の生産、輸送、貯留、転換、活用までの包括的な内容を含んでいる。水素は2005年エネルギー政策法の中でも、第8章で扱われていたが、同省は今回、水素のポテンシャルは発揮されていないと言及。米国のエネルギー政策において水素を大規模に位置づける方向性を示した。
同計画での最大の柱は、水素生産コストの削減。生産コストを1kg当たり1米ドル近くにまで削減することを目標とし、コスト削減に向けた研究開発を国の役割、低コストとなった水素の量産を企業の役割と位置づけた。
水素生産の工法では、石炭のガス化+CCUS(炭素回収・利用・貯留)、天然ガスの改質+CCUS、バイオガス改質、廃棄物からの水素発酵、再生可能エネルギーや原子力発電の水電解までを幅広くオプションとして検討。石炭ガス化や天然ガス改質では、CCUS付きでも現在の技術で1kg当たり2米ドルでの生産が可能だが、さらに技術を確立し1米ドルまで下げるとした。
再生可能エネルギーでの水電解では、1kg当たり2米ドル未満を狙えるとしつつも、さらなるコスト削減オプションとして、電力が不要な熱化学システムや光電気化学プロセスによる水素生産も追究する考え。
水素輸送でも、水素気体のトラック輸送、液化水素での輸送、パイプライン、アンモニア等での加工輸送の4つをオプションとして挙げた。最終的には交通・輸送向けには輸送コストを1kg当たり5米ドル未満、その他の分野での活用に向けてさらに2米ドル未満にまで下げることをゴールとした。
水素エネルギーの活用では、水素燃焼と燃料電池(FC)の双方を併記。用途では、交通・輸送のエネルギー、製鉄やセメントでの製法等を盛り込んだ。
水素エネルギー経済に向けた国際協調では、国際エネルギー機関(IEA)と国際水素燃料電池パートナーシップ(IPHE)の名を挙げた。
【参照ページ】Energy Department Releases its Hydrogen Program Plan
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