食品世界大手米カーギルと国際人権NGOケア・インターナショナルは2月17日、コートジボワールおよびガーナでの、カカオのサステナビリティとカカオ農家の生活水準向上に向けた支援をまとめた進捗レポートを公表した。
両者は60年以上、コミュニティ投資で協働。ブラジル、コスタリカ、コートジボワール、エジプト、ガーナグアテマラ、ホンジュラス、マリ、ニカラグア、インド、インドネシアの11カ国で25プロジェクトを展開し、農家270万人以上を支援してきた。
西アフリカのカカオ生産量は、世界最大。ガーナとコートジボワールで、世界生産量の60%を占める一方、両国のカカオ農家へは、適切な収益分配が行われず、以前貧困層が多い。両者は、2008年からガーナ、2010年からコートジボワールでの共同プロジェクトを開始。児童労働防止、女性の強化、金融へのアクセス改善、生産能力の開発、収益の多様化、コミュニティ強化、食糧安全保障と栄養の確保等を進めてきた。
両者はまず、児童労働の防止に着手。コートジボワールでは、カカオ農家の親子に対し、児童労働による弊害について教育。コミュニティ開発委員会も設立した。ガーナでは、学校関連インフラの開発や、児童労働に関する意識付けを行った。
また女性の強化も支援。ガーナでは2016年から2019年にかけて、家計の意思決定に参画した女性の割合が30%、女性管理職の割合が18%、コミュニティのリーダーとしての役割を担い、公的な意思決定に携わる機会が19%改善した。
金融へのアクセス改善では、複数の農家による定期積立型貯蓄・貸付スキーム「村貯蓄貸付組合(VSLAs)」を376団体立ち上げ、農家9,034人が参加。貯蓄30万米ドル(約3,200万円)が集まり、18.9万ドル(約950万円)の融資を実行した。
生産能力の開発および収益の多様化では、カーギルの「カカオ誓約」プログラムを通じ、両国のカカオ農家13.2世帯の収益化を支援。2008年から2013年には、ケア・インターナショナルの農業トレーニング・パッケージの一環で、ガーナのカカオ農家の収益を29%増加させた。
コミュニティ強化では、コミュニティ275ヵ所で開発アクションプランの策定を、160ヵ所で油圧ポンプや学校施設、トイレ等のインフラ改善を支援した。
食糧安全保障と栄養の確保では、過去10年間、農家の生活の強化と健康的な栄養習慣の促進を行った。コートジボワールでは、2015年から2018年までの食糧危機割合は、16%低減。一部自治体では、最大65%の発生頻度の減少が見られた。また、両者支援地域の世帯では、対象地域外と比べ、1日に3回以上果物や野菜を食べる割合が、33%高い結果となった。ガーナでは、2013年から2016年の食糧危機発生率を12.5%削減。農民の3分の1以上が、地域の食糧の多様化、農場の健康、増収、カーギルとケア・インターナショナルの教育、農場での収量の増加等で、食料へのアクセスに変化があったと語った。
【参照ページ】CARE and Cargill report highlights a decade of making positive impact in West Africa cocoa growing communities
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