日本ミャンマー協会の渡邊祐介常務理事・事務総長が5月26日に外交業界誌「The Diplomat」で、ミャンマー国軍による軍政クーデターを養護し、日本に対し、欧米のや民主主義同盟国とは行動を共にせず、国軍との特別な関係をさらに強化し、欧米とミャンマーの橋渡し役を担うべきとする主張を寄稿したことが、日本ミャンマー協会の会員企業の間で大きな波紋を呼んでいる。
渡邊祐介常務理事・事務総長は、同協会会長の渡邊秀央・元郵政相の息子で、この親子は、日本政府のミャンマー外交に多大なる影響力を持っていると言われている。今回の軍政クーデターを首謀したミン・アウン・フライン軍司令官とも太いパイプがあることも判明している。日本政府にとって、ミャンマーは、ASEAN外交や「開かれたインド太平洋政策」の要とされてきた国で、日本政府は積極的な政府開発援助(ODA)や企業進出の促進を実行。渡邉父子はその中心的な存在だった。
一方、今回の軍政クーデターに関しては、国際社会からの批判も多く、人権観点から企業や投資家から問題視する声が広がっている。その中で発表された日本ミャンマー協会事務総長からの機構に対し、人権NGOと大学教授を中心とする一団が、同協会の会員企業に対し、寄稿論文の趣旨に賛同するか否かの質問状を送付。結果的に、多くの企業から「賛同しない」との声が上がった。また現時点で、同協会のホームページから、役員一覧や加盟企業一覧のページが削除された。
質問状を送付したのは、人権NGOのヒューマンライツ・ナウ、ミャンマーの今を伝える会、在日ビルマ市民労働組合、在日ビルマ難民たすけあいの会、愛日ビルマロヒンギャ協会等。
6月8日時点の発表では、ベッセルホテル開発、グローバルイノベーションコンサルティング、武蔵富装が退会済み。しかし、退会と寄稿の直接の関係は明らかにされていない。また、「賛同しない」と回答したのは、ザイマックス、冨尾石油。「賛同しない部分がある」と回答したのは、森・濱田松本法律事務所、徳岡設計。その他、大企業を含む127社は未回答の状態。
同協会の最高顧問は、麻生太郎副総理兼財相、理事には、自由民主党国会議員の甘利明氏、加藤勝信氏、浜田靖一氏、立憲民主党の安住淳氏、福山哲郎氏が名を連ねており、彼らにも質問状が送付されたが未回答。政治家が絡む問題となっており、大企業は沈黙しているとみられる。
【参照ページ】公開質問状(日本ミャンマー協会事務総長の寄稿について)
【論文】On Myanmar, Japan Must Lead by Example
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