世界経済フォーラム(WEF)は8月11日、32歳以下の若者リーダーたちのコミュニティ「グローバル・シェイパーズ・コミュニティ」実施した若者向け意識調査結果を発表した。合計230万人の声が集まった。全体傾向として、若者は、政治家よりも、AIが運営するシステムを信用する傾向があると分析した。それほどまでに人間の政治家への信頼が喪失している。
グローバル・シェイパーズ・コミュニティは、2011年に世界経済フォーラムが設立した組織で、世界中の32歳以下の若者約3,000人で構成。今回のレポートは、146都市で行われた344回のダイアログと、187カ国で行われたダボス・ラボのアンケートに寄せられた約19,000件の回答をもとに作成。ダイアログを含めると参加者数は230万人以上にのぼる。
今回の調査では、「消費」「デジタル・アクセス」「デジタル・リテラシー」「政治の未来」「インクルーシブ・ジョブ」「メンタル・ヘルス」「カーボンニュートラル」「次世代ESG」「公衆衛生」「公共の安全性」の10の観点で質問した。
消費では、購買行動で最も重要なものは「価格」と応えた人が最多で45.3%。若年者でも価格が重要な要素であることがあらためてわかった。他には、労働基準が15.1%、カーボンフットプリントが12.1%、サステナビリティ報告の透明性が8.6%、オーガニック製品7.1%、水消費6.1%の順。
就職先の選択基準でも、「給料」が27.7%で最多だったが、「バリュー」が27.1%と拮抗。キャリア成長が19.3%、勤務地14.3%、サステナビリティ11.6%、ワーク・ライフ・バランスが0.1%の順だった。
デジタル・アクセスに関しては、「基本的人権」と考える回答が88.9%と圧倒的多数。デジタル・アクセスの改善主体では、政府が27.2%、通信事業者が18.9%、端末メーカーが15.8%、親が13.5%、学校が13.3%、市民社会が11.4%の順。
デジタル・リテラシーに関しては、SNSの課題では「偽情報・フェークニュース」が38.4%で最多。続いて「プライバシー」が19.5%、ヘイトスピーチが11.4%、メンタルヘルス問題が7.8%の順。対策では、「クリティカル・シンキング・スキル教育」が26.0%で最多。続いて、デジタル・ツールへの平等なアクセスが17.3%、懸念を共有できるコミュニケーション・チャネルの構築が15.7%だった。
カーボンニュートラルに関しては、政府が対策を加速すべきで「強く同意」が48.1%、「同意」が33.7%、「中立」が14.2%で、大半が賛成だった。ESGについても、全ての民間セクターがESGの透明性を高めるべきかで「強く同意」が52.3%、「同意」が33.6%、「中立」が12.6%で、大半が賛成。改善策では「経営陣の教育」が28.5%で最多。続いて「ビジネススクールでの指標導入」が20.1%、「消費者からのプレッシャー」が15.0%の順。
同レポートでは、以上を踏まえ、40の政策提言も発表した。5,000万ドル以上の資産を対象とした世界的な富裕税を導入し、社会的セーフティネットを保護し、若者たちやワーキングプアに不均衡な負担を強いるような緊縮策を避けること等も提言した。
【参照ページ】Young People Have More Faith in Algorithms than Politicians
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