イタリアエネルギー大手エネルは11月24日、スコープ3を含むカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)の達成時期を2050年から2040年へと10年前倒しする目標と、2030年計画を発表。2021年から2030年に総額2,100億ユーロ(約27兆円)を投資し、2030年までにEBITDAで5%から6%の成長率を目指す。
同社の今回発表の戦略では、2027年までに石炭火力発電を、2040年までにガス火力発電も廃止し、全面的に再生可能エネルギーや、蓄電施設を併設したタイプに100%転換する。さらに2040年までにガス小売事業も廃止する。
一方、事業地域としては、同社が「ティア1」と定義する国に集中していく。ティア1は、イタリア、スペイン、ルーマニア、米国、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルー。ティア1国では、今後、エネルギーの「電化」が見込まれ、それらによる事業成長を軸に、2030年までに売上を2021年比で80%増。原価は同40%削減する。利益率は現状の2.6倍にまで上昇させる。今後大幅なコスト削減が見込める再生可能エネルギー比率が高めることで、大きくコスト削減していく道筋を描いた。同時に二酸化炭素排出量も2030年までに同80%削減を掲げた。
設備投資では、自社グループで1,700億ユーロ、第三者を通じて400億ユーロの投資、合計で2,100億ユーロを計画。そのうち再生可能エネルギーだけで700億ユーロの投資を占め、これにより2030年までに同社の再生可能エネルギー設備容量は154GWと2020年比で3倍にまで増やす。ティア1国だけで129GWを占める。2030年時点での計画パイプラインには370GWにまで達し、2030年以降も大きく増加していく。
残りの700億ユーロの投資は、送配電網やスマートメーター等のインフラ分野。特に「Grid Blue Sky」というバリューチェーン全体でのデジタル化構想にも力を入れる。発展途上国等の電化が完了していない地域では、同社として100億ユーロを投ずるとともに、第三者から400億ユーロの投資も働きかける。
【参照ページ】ENEL, THE ROAD TO 2030 IN THE 2022–2024 STRATEGIC PLAN: POWERING INVESTMENTS TOWARDS ZERO EMISSIONS WITH FOCUS ON THE ELECTRIFICATION OF CUSTOMER ENERGY DEMAND
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