石油世界大手エクソンモービルは1月18日、2050年までにスコープ1、スコープ2でのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を宣言した。2030年までの中間目標としては、米パーミアン盆地における操業でのカーボンニュートラル、炭素回収・貯蔵(CCS)、水素、バイオ燃料への投資等を掲げた。
同社は、政府によるカーボンニュートラルの促進政策が進められ、脱炭素技術開発が加速すると予測。2050年に自社事業でのカーボンニュートラルを実現するため、二酸化炭素排出量削減に向けた150以上のステップの策定と改善箇所特定を行った。それに加えて、低炭素技術への投資も継続する。直近では、2027年までに低炭素イニシアチブに150億米ドル(約1.7兆円)を投資予定。
2030年目標では、温室効果ガス全体での排出原単位を20%から30%削減し、メタン排出原単位を70%から80%削減、ガスフレアリングの排出原単位を60%から70%削減すると言及した。同目標は、米国政府とEU欧州委員会が主導する「グローバル・メタン・プレッジ(Global Methane Pledge)」や、米政府のメタン削減計画にも整合。世界銀行が進める2030年までに油田・ガス田でのルーティーン・ガスフレアリングを撲滅させるイニシアチブ「Zero Routine Flaring by 2030」にも対応する。
【参考】【アメリカ】バイデン大統領、メタン削減計画発表。ガスから再エネ・原発への転換も(2021年11月5日)
【参考】【国際】グローバル・メタン・プレッジ、105ヶ国・地域で正式発足。2030年に30%以上減(2021年11月3日)
同社はすでに、エネルギー効率改善、メタンガス排出量削減、機器の改良、ガスフレアリングの廃止等を実施。事業の電化や再生可能エネルギーの活用も進めている。2022年末までには、二酸化炭素排出量の約90%までの削減ロードマップを策定予定。残り約10%についても2023年中に策定する。
今回発表では、石油ガス業界で最も排出量が多くなるスコープ3に関しては、一切言及がなかった。同時に発表した報告書の中では「スコープ3を削減する短期的な代替策はなく、当社が削減しても削減量が他者に移るにすぎない」と延べており、スコープ3削減に消極的な依然からの姿勢を貫いた。同社では2021年、会社側提案の取締役候補が否決される事態に発展している。
【参考】【アメリカ】エクソンモービル、気候変動株主提出の取締役候補2名以上が当選。ロビー活動株主提案も可決(2021年5月28日)
【参照ページ】ExxonMobil announces ambition for net zero greenhouse gas emissions by 2050
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