
世界気象機関は7月10日、砂塵嵐の現状をまとめた年次報告書「WMO Airborne Dust Bulletin」の2025年版を発行した。世界150カ国で約3億3,000万人に影響を与えており、経済損失も甚大になってきていると伝えた。
塵埃の世界平均年間砂塵表面積濃度は、2024年には前年より多少減少したものの、最も影響を受けた地域では、1981年から2010年の長期平均を超えている。また、毎年、約20億tの砂塵が大気中に流入しており、水と土地の管理の不備、旱魃、環境悪化が主な要因。また、世界の砂塵80%以上が、北アフリカと中東の砂漠に由来しており、数百から数千km先にまで運ばれている。
健康影響では、2018年から2022年の間に、世界保健機関(WHO)の安全基準を超える砂塵濃度に曝露した人は38億人。2003年から2007年の平均の29億(44.5%)に比べ、31%増加した。曝露状況は、地域によって大きく異なり、影響の少ない地域では数日程度だったのに対し、最も砂塵の影響を受けやすい地域では87%を超える日数に及んでいる。
経済コストでは、米国のみで、2017年の経済的コストは154億米ドルに上り、1995年の試算の4倍にまで増加。それには、人的被害、農作物被害、風力・太陽光発電所への影響、PM大気汚染による死亡、バレー熱による健康コスト、輸送コスト等が含まれている。また、考慮されていない人間の罹患率、水循環、航空、放牧地に対する損害までを含めると、試算された金額を大きく上回るとも言われている。
同報告書で、WMOは、砂塵嵐対するモニタリング、予測、早期警戒システムの継続的な改善が必要と訴えている。
【参照ページ】WMO highlights hotspots, health hazards and economic cost of sand and dust storms
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