国際労働機関(ILO)は4月6日、新興国の企業を対象としたダイバーシティ&インクルージョン動向報告書を発行。約25%の人が職場で評価されていないと感じていることがわかった。
今回の調査報告書は、新興国を対象としたことが大きな特徴。従来のダイバーシティ&インクルージョンに関する統計調査は、先進国のグローバル企業を対象としたものが主で、新興国の状況についてはよく見えていなかった。そこでILOは今回、新興国75ヶ国の労働者12,087人を対象に2021年7月から9月にサーベイ調査を行った。規模は大企業から中小企業までを対象とした。内容も、年齢、性別、性的指向、民族・人種・宗教、障害者、HIV感染者等を多角的に調査した。
今回の調査では、職場の文化や戦略において、ダイバーシティ&インクルージョンが十分に認識され、リソースが確保されていると答えた人はわずか半数。インクルージョンの状況を測定している企業は3分の1しかなかった。
同調査では、職場の一体感は、個人の経歴、年齢、性別、民族・人種・宗教等にかかわらず、上級職の人ほどインクルーシブの感覚を持っている人が多いことがわかった。例えば、上級スタッフの92%が「職場に受け入れられていると感じる」「職場でダイバーシティが尊重されていると感じる」と答えたのに対し、下級スタッフでは76%だった。また、中堅企業、大企業、グローバル企業の従業員は、中小企業や国営企業の従業員よりも肯定的に感じている傾向があった。
同報告書は、多くの企業が持続可能で変革(サステナブル・トランスフォーメーション)を起こすためには、ダイバーシティ&インクルージョンの企業実践、政策・法的枠組、企業の価値観を結びつけることが最も有効と指摘。ダイバーシティ&インクルージョンは、企業の戦略や文化の一部として優先されるべきであり、トップマネジメントは多様である必要があると言及している。
【参照ページ】Greater progress on diversity and inclusion essential to rebuild productive and resilient workplaces
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