【アメリカ】カリフォルニア州、同州の洋上風力発電の中長期計画発表。2045年までに最大15GW

　米カリフォルニア州エネルギー委員会（CEC）は、同州の洋上風力発電の中長期目標と計画を発表した。今後、立法手続きに入る。

　今回の発表は、カリフォルニア州における洋上風力発電における実現可能な最大発電容量を評価し、2030年と2045年の目標を設定するための最初の報告。2022年末までに追加で2回の報告が実施され、2023年6月末に最終計画案がカリフォルニア州天然資源局と議会に提出される。

　カリフォルニア州では2018年8月、2045年までに化石燃料を用いた火力発電所を段階的に廃止し、再生可能エネルギーに転換することを目標として設定する州法案「SB100」が成立した。中間目標として、2026年までに再生可能エネルギー発電を50%、2030年までに60%にまで引き上げることが義務化されている。

【参考】【アメリカ】カリフォルニア州下院、2045年までに同州電力を100%脱化石燃料化させる州法案可決（2018年9月3日）

　今回の発表では、潜在的な洋上風力の発電容量は21.8GWと報告された。目標計画案は、2030年までに3GW、2045年までに7GWから12GWを追加し、合計10GWから15GWとした。また、今後の洋上風力発電における技術開発が進めば、2045年から2050年までに最大20GWを達成する可能性も示した。

　今後の調査・目標設定に向けて、特に考慮すべき重要なポイントが5つ示された。

　1つ目は、2021年3月に発表されたSB100の政策評価を行ったレポートとの整合性。同レポートでは、2045年までに100%再生可能エネルギーに転換するために、洋上風力で10GW分の発電を行うシナリオが用いられ評価された。同水準の発電量を目標として継続検討していく。

　2つ目は、送電網の拡充。既存の送電網で5GWの追加発電までは対応可能であるが、それ以上はインフラの拡張が必要になる。インフラ拡張のタイムラインを考慮しながら、段階的な目標設定をしていく必要がある。

　3つ目は、電力供給のタイミングの見極め。夕方に向けて太陽光発電の発電量が減少するため、この時間帯の需要をカバーするために洋上風力発電が期待されている。電力需要に合わせた再生可能エネルギーの最適な組み合わせを考慮する必要がある。

　4つ目は、洋上風力発電のリスク対策。風力などに発電量が左右されるため、発電量に不確実性がある。他の再生可能エネルギーと同様にあるリスクを考慮した計画が必要になる。

　5つ目は、国防観点、生態系や漁業関係者、地元先住民等ステークホルダーへの配慮。現在の目標案にはこれらの潜在的な影響は加味されていないため、今後の追加調査を受けて目標設計に含めていく。

　2030年の3GW分の目標案達成に向けては、モロ・ベイとハンボルトの風力エネルギー海域に建設することで達成可能な見込み。目標達成に向けて適した他の海域を検討していく。

　また、海洋エネルギー管理局（BOEM）は5月5日、ハンボルトの風力エネルギー海域の環境調査結果について、重大な影響がないことを発表した。この地域の洋上風力発電所が完成すれば、最大1.6GWの発電が可能になり、これは約56万世帯分の電力に相当する。

【参考】【アメリカ】内務省、2025年までに最大7件の洋上風力海域リース発表。2030年30GW目標に向け（2021年10月16日）

【参照ページ】Offshore Wind Energy Development off the California Coast: Maximum Feasible Capacity and Megawatt Planning Goals for 2030 and 2045
【参照ページ】2021 SB 100 Joint Agency Report, Achieving 100 Percent Clean Electricity in California: An Initial Assessment
【参照ページ】BOEM Completes Environmental Review of Offshore Wind Leasing in Northern California

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所