仏環境NGOのReclaim Financeは10月5日、大規模天然ガスプロジェクトとしてオーストラリアで進められている「イクシスLNG事業(フェーズ1)」に関し、西オーストラリア州最高裁判所の資料を基に、同事業の損害保険を引き受けた保険会社を公表。そのうち、2050年までに保険引受ポートフォリオのカーボンニュートラルを目指す国際イニシアチブ「Net-Zero Insurance Alliance(NZIA)」に加盟している10社を特定した。その中には日本の損害保険会社も入っていた。
同事業は、INPEXが66%、トタルエナジーズが26%を出資。少なくとも2060年まで拡張し続けることを計画しており、今後新たに12のガス井を建設する予定。全てが完成するとライフサイクル全体での二酸化炭素排出量は年間5.9億t。現在のオーストラリア全体の年間排出量に匹敵するものとなる。パイプラインだけでも総長約890km。世界の石油・ガスプロジェクトとしてトップ1%に入る規模で、オーストラリアでは最大級。
今回発表された保険会社は、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングス、サンコーグループのAAI、AIG、アリアンツ、現アクサグループのXL、チャブ、HDIグローバル、ヘルベティカ、ミュンヘン再保険グループのGreat Lakes Insurance、SCOR、スイス再保険、チューリッヒ保険と、ロイズ・オブ・ロンドンのBeazley。
同プロジェクトのフェーズ1は、2012年から2017年で、2018年から稼働を開始済み。今回の特定された損害保険引受は、それ以前もしくはその期間に提供されたもの。そのため、2021年のNZIA発足よりもかなり前のものとなる。フェーズ2は2025年までに稼働開始予定で、すでにフェーズ3の計画も始まっている。
そのため、今回Reclaim Financeは、過去の損害保険引受を非難するのではなく、引受を更新しないよう16社に個別に書簡を送付。サンコープは更新しないと回答した。Reclaim Financeによると、アリアンツ、アクサ、SCOR、スイス再保険、チューリッヒ保険の5社のみが、LNG(液化天然ガス)を保険引受ポートフォリオから制限する方針をすでに策定している。
今回の発表を受け、環境NGOの「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は同日、声明を発表。東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスの3社にあらためて保険引受更新しないよう求めた。JACSESによると、東京海上ホールディングスとSOMPOホールディングスは個別案件には回答しないとし、回答を拒否。MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、関与の判明が遅れたため、事前質問票が送られていないという。
【参照ページ】Will major insurers rule out support for Ichthys LNG’s expansion?
【参照ページ】プレスリリース「東京海上・MS&AD・SOMPO等による豪州イクシスLNG事業の保険引受が判明~今後の拡張事業の保険を引き受ける可能性も~」を発表
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