世界経済フォーラム(WEF)は11月3日、法執行機関の捜査における顔認証技術の責任ある利用に関するフレームワークに関して、パイロット版の試験運用を行った報告書を発表した。国際刑事警察機構(インターポール)、国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)、オランダ警察と共同で制作し、9つの原則の概説と自己評価アンケートを提供した。
今回の発表は、WEFが2021年に発表した同フレームワークの有用性の検証のため、6つの法執行機関が試験的に導入を行い検証した結果が報告したもの。今回の検証に参加したのは、ブラジル、フランス、オランダ、ニュージーランド、スウェーデンの5カ国、合計6つの警察組織が参加した。これらの機関は、自己評価アンケートに回答後、4ヶ月間のフレームワークの議論を行った結果をフィードバックした。
顔認証システムに関しては、安全性向上という社会的便益と同時に、人権侵害やプライバシー侵害という懸念もある。例えば、2018年には米国で、無実のアフリカ系アメリカ人男性が顔認証技術を使用した窃盗捜査の容疑者として誤認され、逮捕、拘束された。システムエラーや誤用が発生した場合、致命的な影響を与える可能性が高い。
今回の発表では、人権と基本的権利の尊重、エラーとバイアスの軽減、透明性の確保などの9つの原則を改めて強調。また、自己評価用のアンケートを通して、各機関が顔認証技術の利用に関して考察できる設計とした。顔認証技術を利用するまでのステップ、国境警備や児童虐待等の各ユースケースに関する利用方法の考察も示した。
今回のフレームワークは、国際標準化機構(ISO)が策定中である生体認証技術に関する新しい規格に一部利用される予定。この規格は、EUの人工知能(AI)に関する法律の策定を支援することを意図したものであり、この法案の中で高リスクに分類された生体認証システムのサービスプロバイダーに対する指針と要件を提供する予定。
【参照ページ】Proposed Law Enforcement Principles on the Responsible Use of Facial Recognition Technology Released
【参照ページ】A Policy Framework for Responsible Limits on Facial Recognition Use Case: Law Enforcement Investigations
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