欧州委員会及びEU加盟国23カ国とノルウェー、アイスランドの各国消費者保護当局のネットワーク(CPCネットワーク)は1月30日、小売事業者のウェブサイトに対するダークパターン行為の一斉点検の結果を発表した。アパレルから電化製品まで幅広い製品を対象に399のEコマース・ウェブサイトを調査した。
ダークパターンとは、デザインのトリックを利用し、消費者に意図しない購買等を誘発させる行為のこと。ダークパターンでは、人気オンラインゲーム「フォートナイト」の開発企業エピック・ゲームズが、米連邦取引委員会(FTC)から総額5億2,000万米ドル(約690億円)の支払を命じられたことが記憶に新しい。
【参考】【国際】エピック・ゲームズ、フォートナイト違法課金で690億円の支払へ。米連邦取引委員会(2022年12月21日)
ダークパターンは、2019年に米プリンストン大学が7種類に分類している。具体的には、
- Sneaking(こっそり):ユーザーの同意なしに商品をカートに紛れ込ませたり、定期契約させる手法
- Urgency(緊急):実態とは異なる締切を設定して、ユーザーの購入を焦らせる手法
- Misdirection(誘導):文章やデザイン、感情等を不当に利用し、ユーザーに特定の行為を誘導する手法
- Social Proof(社会的証明):他人の行動を根拠として商品に人気があるように見せかけて、ユーザーの購入意思決定に影響を与える手法
- Scarcity(希少性):実態とは異なる商品の希少性をアピールし、ユーザーの購入を焦らせる手法
- Obstruction(妨害):登録解除やキャンセル等に過度な障害を設けてユーザーにさせないようにする手法
- Forced Action(強制):ユーザーの希望を叶えるために、無関係の行為を強要する手法
今回の一斉点検では、Urgency(緊急)を活用した「偽のカウントダウン・タイマー」、Misdirection(誘導)を活用した「消費者を購入や購読などの選択に導くように設計されたウェブ・インターフェース」、Sneaking(こっそり)やObstruction(妨害)を活用した「隠れた情報」の3つを対象とし、調査した。
結果は、399のウェブサイトのうち、Urgency(緊急)が42、Misdirection(誘導)が54、Sneaking(こっそり)やObstruction(妨害)が70もあった。全体では148サイトに3つのいずれかのダークパターンが活用されており、割合は37%に上った。
また、102のウェブサイトのアプリ版27件も調査したところ、3つのいずれかのダークパターンが活用されたものが27もあった。
各国当局は今後、当該事業者に連絡し、サイトの是正を求めるとともに、必要に応じて、各国の手続に基づき、さらなる措置を講じる予定。加えて、欧州委員会は、消費者保護に関する不公正商行為指令、消費者権利指令、不公正契約条件指令に基づき、ダークパターンに関する規制強化のパブリックコメントを2月20日まで募集する。また、ダークパターンを規制する予定のデジタルサービス法も2022年10月に成立し、同11月に施行。規定が2月17日から適用される。
ダークパターンの活用に関しては、欧州委員会は別途1月26日、消費者保護法に基づき、グーグルとの間で協議した合意事項を発表。グーグルは、価格やキャンセルに関する注文の一方的な変更能力を制限にコミット。また、消費者保護当局が違法コンテンツを報告し、迅速に削除を要請できるようグーグルが専用の窓口メールアドレスを設けることもコミットした。Google Playストア、Googleストア、Googleフライト、Googleホテルでも、図りづらいサイト設計を是正することも約束。今後、CPCネットワークがモニタリングし、不遵守が確認されれば、是正を命ずる。
【参照ページ】Consumer protection: manipulative online practices found on 148 out of 399 online shops screened
【参照ページ】Consumer protection: Google commits to give consumers clearer and more accurate information to comply with EU rules
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