
米エネルギー省は4月2日、建設・不動産セクターで2050年までにカーボンニュートルを実現のための初の包括的戦略を発表した。4つの戦略分野を設定した。
米国では、建設・不動産関連で米国の温室効果ガス排出量全体の35%を占めている。具体的には、不動産向け電力で18%、施設内エネルギー生産で8%、冷媒で2%、熱調達元のガス燃焼で2%、建材・設備の生産時の排出量で5%となっている。
バイデン政権は、建設・不動産からの温室効果ガス排出量を2035年までに65%、2050年までに90%削減する方針。今回の戦略をそれに向けた実行戦略となる。
(出所)エネルギー省
今回示したロードマップでは、2035年65%減の目標は、不動産で使用する発電のゼロエミッション化で達成。電力以外の熱源や、冷媒、建材・設備等での削減は2035年までに技術開発を急ぎ、2035年以降の削減策として活用していく。
ゼロエミッション発電の見通しとしては、原子力発電については横ばいとし、今後の増加分は全て再生可能エネルギーとする計画を示した。コストについては、過去数十年間で発電コストは下がる一方、送配電コストは増加しており、デンマンドレスポンス(DR)制度等を通じ、送配電インフラ開発を抑制していく方針。
今回掲げた4つの戦略は「不動産での省エネ向上」「施設内排出量の削減加速化」「不動産と送配電網の相互作用変革」「建材のライフサイクルでの排出量(エンボディド・エミッション)の最小化」。これを通じ、光熱費の削減も同時に実現する。
特に、省エネにより年間の家計光熱費を年間1,000億米ドル(約15兆円)削減することを目指す。エネルギー省の「アフォーダブル・ホーム・エネルギー・ショット」は、住宅改修にかかる初期費用を50%以上削減し、10年以内に光熱費を20%削減することを目標としている。また、化石燃料エネルギーを減らすことで、年間170億米ドルの医療費の削減も実現する。
エンボディド・エミッションの最小化では、まず、不動産の有効活用を進め、新規需要を抑制する。また建材での再生素材や低炭素資材への転換を進める。エンボディド・エミッション算定での標準的ツールも開発し、報告制度も設けていく。
【参照ページ】DOE Releases First Ever Federal Blueprint to Decarbonize America’s Buildings Sector
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