
国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は5月15日、低中所得国(LMICs)におけるモバイルインターネット利用に関する男女格差を分析した報告書の2024年版を発表した。男女格差は新型コロナウイルス・パンデミック以前の水準に回復したが、7.9億人の女性がモバイルインターネットを利用できていない。
【参考】【国際】低中所得国の携帯電話のインターネット利用男女格差。2030年までに毎年1億人の利用者増必要(2023年6月4日)
同報告書は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカのLMICsにおける携帯電話の所有率とインターネット利用率を分析したもの。英外務・英連邦・開発省(FCDO)、スウェーデン国際開発協力庁(Sida)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて作成された。対象国は、エジプト、エチオピア、ケニア、ナイジェリア、セネガル、ウガンダ、バングラデシュ、インド、インドネシア、パキスタン、グアテマラ、メキシコの12カ国。
LMICsの女性のモバイルインターネットの利用率は、2017年の44%から2023年には66%に増加したと報告。2023年の女性のモバイルインターネット利用者は約1.2億人増加。利用率は男性よりも15%低いが、2022年の19%よりも改善し、新型コロナウイルス・パンデミック以前の水準に回復した。インドとインドネシアで女性のモバイルインターネット普及率は男性を上回り、サブサハラ・アフリカでは、5年ぶりに男女格差が改善した。
(出所)GSMA
2023年にLMICs全体でスマートフォンを所有する女性は14億人で、同地域の女性全体の60%にあたる。南アジアが牽引しスマートフォン所有率の男女格差は2022年の15%から2023年には13%に改善した。しかし、スマートフォンを所有できていない残りの40%の女性がスマートフォンを所有し、無数の経済的メリットを享受できるようになるよう普及を加速させるべきと訴えた。
モバイルインターネット利用普及の課題として、携帯電話端末等の金額の高さ、識字率、リテラシーとデジタルスキル、安全性とセキュリティへの懸念を挙げた。女性固有の課題では、男女間の賃金格差、教育へのアクセスの不平等、雇用率の低さ等がある。
同報告書は、LMICs全体の携帯電話の所有率とインターネット利用率における男女格差を解消することで、携帯電話通信業界全体に8年間で2,300億米ドル(約35兆円)の経済効果をもたらすことが可能と伝えた。携帯電話通信事業者、インターネットサービス企業、政府と規制当局、開発コミュニティの4者に向けて、携帯電話本体等の値段の手頃さ、リテラシーとデジタルスキル、安全性とセキュリティ、アクセシビリティ、女性向けのサービス向上の5つのテーマに対する提言もまとめた。
【参照ページ】Mobile Internet Adoption Accelerates Among Women in LMICs, but Further Action is Needed to Close the Gender Gap: GSMA
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