
欧州委員会は6月25日、マイクロソフトに対し、EU競争法違反の予備的見解を伝えた。同社のコミュニケーションサービス「Teams(チームズ)」が、同社の企業向けスイート「Office 365」及び「Microsoft 365」に含まれる人気の高いアプリケーションと結びつけられていると判断された。
欧州委員会は2023年7月、セールスフォース傘下のスラック・テクノロジーズからの申し立てを受け、同事案の正式調査を開始。また数日後には、alfaviewからも同様の申し立てを受けていた。
今回の事案では、まず、マイクロソフトの企業向けスイート「Office 365」及び「Microsoft 365」が、業務用SaaS型生産性アプリケーション市場で世界的に支配的地位にあると予備的に判断した。その上で、少なくとも2019年4月以降、マイクロソフトがTeamsを自社の中核的なSaaS型生産性アプリケーションと抱き合わせにすることで、コミュニケーション及びコラボレーション製品の市場における競争を制限し、生産性ソフトウェアにおける自社の市場地位とスイート中心のモデルを競合する個別ソフトウェアのサプライヤーから守っていると判断した。
特に、マイクロソフトが、SaaS型生産性アプリケーションを契約する際に、Teamsへのアクセスを取得するか否かの選択肢を顧客に与えなかったことにより、Teamsに販売上の優位性を与えたおそれがあると懸念。この優越的地位は、Teamsの競合他社とマイクロソフト社の製品との間の相互運用性の制限によって、さらに悪化した可能性があるとした。
マイクロソフトは、今回の事案を受け、2024年4月にTeamsの抱き合わせ販売を世界中で中止することを決定している。しかし今回欧州委員会は、抱き合わせ販売の中止だけでは不十分との見解を伝えた。
【参考】【国際】マイクロソフト、Teamsの抱き合わせ販売を世界中で中止。競争法対策(2024年4月8日)
今回の予備的見解を受け、マイクロソフトには反論の機会が与えられる。欧州委員会及び各国競争当局の代表者の前で、同事案に関する意見を述べるための口頭審理を要求することもできる。その後に、欧州委員会は、違反の最終決定を下すことができる。違反が確定した場合、当該行為を禁止することに加え、当該企業の全世界における年間売上高の10%を上限とする制裁金を科す決定を下すことができる。また、侵害を効果的に終結させるために相応の救済措置を企業に課すこともできる。
【参照ページ】Commission sends Statement of Objections to Microsoft over possibly abusive tying practices regarding Teams
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