
農林水産省は7月31日、「農業技術の基本指針」を改訂した。6月に成立した食料・農業・農村基本法改正に基づき、章立てが大きく見直された。
25年ぶりに改正された食料・農業・農村基本法では、国民一人一人の「食料安全保障」が基本理念の中心に据えられるとともに、「環境と調和のとれた食料システム」が新たな基本理念に追加された。
食料安全保障では、「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義。気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化、国際情勢の不安定化が念頭に置かれるとともに、足元でも貧困や格差が拡大し、栄養状況が悪化していることにも課題としている。処方箋としては、農業生産の増大を基本としつつも、安定的な輸入・備蓄の確保についても本腰を入れる。
「環境と調和のとれた食料システム」では、同法の中に、食料供給の各段階において環境に負荷を与える側面があることに鑑み、その負荷の低減が図られることにより、環境との調和が図られなければならないことが明記された。さらに、農業が持つ国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等の「多面的機能」に関しても、「環境負荷低減が図」りながら実現することが明記された。
「農業技術の基本指針」の改訂は、毎年行われているが、今回は、食料・農業・農村基本法改正により、章立てが新たな基本理念と整合するように再編された。具体的には「食料安全保障の抜本的な強化」「環境と調和のとれた産業への転換」「人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持」「食品の安全性の向上等」となった。
具体的には、全ての補助事業等に対して、最低限行うべき環境負荷低減の取組の実践を要件化する「クロスコンプライアンス」について明記。さらに、みどりの食料システム戦略に貢献する技術のASEAN地域での活用を目指す「日ASEANみどり協力プラン」についても盛り込まれた。
【参照ページ】「農業技術の基本指針」(令和6年7月)の公表について
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