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【日本】環境相、洋上風力開発案件で環境アセス意見書。生態系や景観で計画変更要請

【日本】環境相、洋上風力開発案件で環境アセス意見書。生態系や景観で計画変更要請 3

 環境省は10月30日、環境影響評価法(環境アセスメント法)に基づき、東京電力ホールディングス傘下の東京電力リニューアブルパワーが計画する千葉県銚子市沖の洋上風力発電事業の計画段階環境配慮書に対する環境相意見を、経済産業相に提出したと発表した。国内希少種のウミガラスを含む海鳥や、水郷筑波国定公園の眺望への影響について、調査・予測・評価と回避・低減を求めた。同日、北海道石狩市と愛知県田原市の陸上風力発電事業の環境影響評価準備書に対する意見も提出し、猛禽類の衝突対策や配置の見直しを求めた。

 銚子市沖の事業は、最大設備容量420MW、事業実施想定区域の面積は約4000haの計画。風車の基数は配慮書の段階では示されていない。経済産業相から2026年9月16日に意見照会があり、環境相は10月30日に意見を提出した。同海域は、再エネ海域利用法に基づき2019年11月に協議会が設置され、2020年7月に促進区域に指定された経緯を持つ。

 意見の柱の一つは鳥類。想定区域周辺では国内希少種のウミガラス等の海鳥の移動が阻害される影響が懸念されるとして、調査・予測・評価を行い、環境保全措置によって影響を回避または極力低減するよう求めた。意見書では、ウミスズメ、ヒメウ、オオセグロカモメ、ウミネコ、オオミズナギドリ等の海鳥も挙げられている。海生生物については、想定区域の一部が生物多様性の観点から重要度の高い海域として抽出され、スナメリも確認されていることから、工事中の濁り等の影響を評価し、必要に応じて保全措置を講じるよう求めた。

 景観では、水郷筑波国定公園の天王台園地や犬若屏風ヶ浦線道路等の主要な眺望点、飯岡刑部岬展望館からの眺めについて、フォトモンタージュ等で予測・評価し、影響を回避・低減するよう求めた。事業計画の具体化に当たっては地方公共団体等の意見を踏まえることも要請した。意見書は、工事中と稼働中の水中音の伝搬状況を事後調査の項目として挙げた他、他の風力発電所との累積的影響の評価や、配置の再検討、区域の見直し、基数の削減を含む事業計画の見直しにも言及している。

 東京兎不動産ホールディングス傘下の東急不動産が北海道石狩市で計画する厚田風力発電事業は、単機出力4.3MWの風車15基、最大設備容量64.5MWの規模で、対象事業実施区域は約443.9ha。環境相は、区域の大半が石狩市のゾーニング計画で「環境保全エリア」とされていることから、その根拠と趣旨を踏まえ、市等に丁寧かつ十分な説明と調整を行うよう求めた。国内希少種のオジロワシについては、餌場と考えられる漁港周辺や飛翔頻度が高い場所、年間衝突予測数が相対的に高い場所の近くの風車について、設置の取り止めか、影響を回避・低減できる場所への配置の見直しを求めた。オジロワシ、オオワシ、クマタカ、チュウヒの衝突が確認された場合には、専門家等による協議会を設けて助言を受け、稼働停止を含む緊急の保全措置を講じることも求めている。準備書の縦覧に対する住民意見は214件に上った。

 厚田の事業は、2022年に配慮書を公表し、同年12月に環境相意見が出された後、2024年に方法書の手続を経て、2026年3月から4月に準備書を縦覧した。北海道知事は10月7日に意見を出している。意見書の別紙では、建設機械の稼働に伴う騒音が一部の住居で現況より最大15dB増える予測や、複数の住居で風車の影が諸外国のガイドラインの参照値を超える予測にも触れた。区域全体の年間衝突予測数は既存の国内陸上風力発電所より高いとし、カメラを用いた衝突検知システムについては有効性の知見が十分でないとも指摘している。

 インフロニア・ホールディングス傘下の渥美風力開発が愛知県田原市で計画する田原中山風力発電事業は、4.2MW級の風車5基、最大設備容量21MWの規模。周辺に他社の風力発電所が多数あることから、事業者間で調整と情報共有を行い、地域全体で影響を低減するよう求めた。稼働後の事後調査で重要な鳥類への重大な影響が判明した場合は、視認性を高める措置等の追加的な保全措置を求めた。三河湾国定公園の第2種特別地域の一部を改変して風車5基を設置する計画であることから、海岸景観への影響を極力低減するよう引き続き検討することも求めた。意見書では、建設機械の騒音が一部地域で環境基準値を超える予測や、国内希少種のハヤブサの営巣の確認にも触れている。

 田原中山の事業は、2019年に配慮書、2020年に方法書の手続を進めた後、準備書の縦覧が2026年4月から5月に行われるまで約6年を要した。愛知県知事は10月9日に意見を出している。渥美半島は風況に恵まれ、既に多くの風力発電所が立地する地域であり、新設案件が増えるほど累積的な影響の評価と事業者間の調整が重みを増すことになる。意見書では、ハマナデシコ等の指定植物や、飛砂防備保安林の一部改変による生態系への影響への懸念も示された。

 日本政府は目下、洋上風力を再エネの主力電源化の切り札と位置付けているが、資材価格の高騰や事業者の撤退が相次ぎ、案件形成の立て直しが課題となっている。今回の意見は、環境影響評価の段階で鳥類や景観、累積的影響への対応が厳しく問われ、場合によっては配置の見直しや基数の削減まで求められることを改めて示した。事業者にとっては、配慮書の段階で示された懸念に後段の手続で十分に応えられなければ、手続の長期化やコストの増加を招きかねない。計画初期から専門家や自治体、地域住民と対話し、ゾーニング計画と整合させることが事業の予見可能性を高めることになる。

【参照ページ】(仮称)銚子市沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について 【参照ページ】(仮称)北海道厚田風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について 【参照ページ】(仮称)田原中山風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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