
世界経済フォーラム(WEF)のパートナーであるシュワブ財団は6月25日、WEFのニュー・チャンピオン年次総会(夏季ダボス会議)の場で、社会起業家向けに人工知能(AI)をより倫理的かつ効果的に活用するための包括的なロードマップを発表した。
同報告書は、社会起業家に対してインパクトのあるイノベーションの実現に向けたAI活用に関して提言。マイクロソフトとEYが共同作成し、300名を超える社会起業家の知見をまとめ、社会起業家がAIを活用するための「Principles for Responsible Implementation, Scale and Management of AI(PRISM)」フレームワークを提唱した。
同報告書では、調査対象の社会起業家の54%が、既存製品やサービス強化のためにAIを活用しており、約30%が新事業開発のために活用していると報告。一方で、様々な格差が存在しており、特に、男女格差が大きく、女性中心の社会的企業のAI活用率は25%に留まっているとした。また、商業的に利用可能なモデルは高所得国のデータで訓練されているため中低所得国では不十分な結果となることが多かった。
社会起業家がAIをより有効活用するために提唱したPRISMフレームワークは、「インパクトミッションと戦略」「導入パスウェイ」「キャパシティとリスク」の3つのステップで構成されており、組織にAIを組み込むためのステップを概説。世界経済フォーラムの「AIガバナンス・アライアンス」が提唱した生成AIの安全な開発、利用のためのアプローチ「プレシディオAIフレームワーク」をベースに作成された。
【参考】【国際】世界経済フォーラム、責任あるAIで3つの報告書。AIガバナンス・アライアンス(2024年2月1日)
1つ目のステップでは、社会起業家はインパクトファーストの組織であり、AIの導入戦略はインパクトの目標、コアバリューにより決定されるため、インパクトの優先順位が重要だとした。2つ目のステップ「導入パスウェイ」では、組織の状況により異なる6つの導入の切り口を整理し、ケーススタディとして企業の事例を紹介した。
最後のステップでは、ステップ2の導入パスウェイ毎に「倫理」「データ」「ビジネスと組織」「テクノロジー」「コストと指標」の5つのカテゴリーの懸念事項に対処するための実践的なステップを概説した。
【参照ページ】New Report Charts Ethical AI Roadmap to Accelerate Social Innovation
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