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【日本】サントリーHD、熊本・益城町で耕作放棄水田を湿地再生。森林・農地を流域一体管理

【日本】サントリーHD、熊本・益城町で耕作放棄水田を湿地再生。森林・農地を流域一体管理 3

 サントリーホールディングスは7月13日、熊本県上益城郡益城町下陳地区で、地域団体と「生物多様性の保全・再生と水源涵養機能の向上に関する協定」を締結したと発表した。耕作放棄水田を湿地として再生し、生物多様性の保全・再生と地下水の浸透を促進。上流域の森林整備、農地での地下水涵養、湿地再生を組み合わせ、流域全体でのネイチャー・ポジティブの実現を目指す。

 対象は、同社の「サントリー 天然水の森 阿蘇」に隣接する益城町下陳地区の約3,000m2。山に囲まれた谷状の水田で、九州では「迫」とも呼ばれる場所にあり、重機が入りにくい等の理由から耕作放棄田となっていた。同社は近隣河川の水を引き入れ、年間を通じて水を維持する湿地への転換を進める。

 同社は4月下旬から、3段の水田跡への湛水を開始。現時点では一部への湛水に留まるが、2027年4月頃に対象地全面へ水を張ることを計画している。通年湛水により、カエル類、水生昆虫、在来のマルタニシ等の産卵・生息環境を再生する。同社によると、湛水開始後、すでに準絶滅危惧種に位置づけられるカエルの生息が確認されたという。

 湿地再生には、水源涵養機能もあり、湿地に引き入れた水の一部は地下へ浸透しているとみられる。但し、整備初期で水が地下へ大きく抜ける状態にあり、現時点では流入量と流出量を正確に計測できていないため、涵養量の把握は今後進める。また、湿地は豪雨時に水を一時的に受け止め、下流への急激な流出を緩和する防災上の機能も期待される。

 同社は、今回の湿地を単独の自然再生地としてではなく、上流域の阿蘇外輪山の森林、その下流側に位置する湿地や水田、さらに地下水を利用する九州熊本工場までを含め、流域全体で捉えている。阿蘇外輪山の森林に降った雨を土壌へ浸透させ、その一部が湧水や河川となった後、下流の水田や湿地で再び地下へ浸透させる。

 上流では、2003年から「天然水の森 阿蘇」で水源涵養活動を実施。人工林の間伐等を通じて林床に光が届く環境を整え、雨水を蓄え、浄化する「ふかふかの土」の形成を促進。落ち葉等の有機物を土壌生物が分解し、土壌に団粒構造が形成されることで空隙が生まれ、土壌が雨水を一時的に保持しながら地下へ浸透させる。手入れ不足の森林では、林床に光が届かず下草や土壌生物が減り、土が硬くなるため、水が表面流出しやすくなり、地下水涵養機能が低下する。

 下流側では、湿地再生だけでなく、2010年から行政、地域農家、熊本地下水財団等と連携し、稲刈り後の11月から翌年3月まで水田に水を張る「冬水田んぼ」を実施している。現在の対象面積は計19haで、このうちサントリーホールディングスが13ha、湖池屋が約1haを支援する。

 冬水田んぼでは、金山川から用水路を通じて水を引き入れ、流入量と流出量の差から地下水への浸透量を推計。同社の測定では、冬水田んぼで地下へ浸透すると推計される水量は、九州熊本工場の使用水量を上回るという。

 水管理は、地域の土地改良区等が担い、農地ごとの水量を均等に保つため、取水設備を日々調整している。また同社は、熊本県が推進する「くまもとグリーン農業」の方針も踏まえ、地下水への硝酸態窒素等の流入抑制を考慮し、参加農家に可能な範囲で農薬・化学肥料の削減を要請。一部農地では、協力農家の判断により同使用量の削減を実施している。

【参照ページ】熊本県上益城郡益城町において湿地再生活動を開始 【画像】サントリーホールディングス

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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