グッチ、プーマといった著名ブランドを有し、アパレル、アクセサリー事業をグローバルに展開するファッション・コングロマリットのケリングは5月19日、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計、"Environmental Profit and Loss Account(以下、E P&L)"の計測結果および方法論を公表した。
ケリングは、E P&Lを通じて、物流から店頭までサプライチェーン全体における自然資本への影響を分析することで事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することが可能になるとしている。
また、同社は計測結果だけではなくE P&Lの方法論をオープンソースの形で提供し、他社が活用できるようにすることで、環境会計に関するグローバルイニシアチブのNatural Capital Protocol(以下、NCP)と共に自然資本会計の更なる発展を支援していくとしている。
ケリング傘下の各ブランドと監査法人であるPwCのサポートにより、2013年の年次報告書ではE P&Lの導入における7つのステップが説明され、グループ全体を対象としたE P&Lによる計測結果と、自然資本への負荷を軽減するために既に取られている主要な行動について明らかにされている。
こうした取り組みを踏まえケリングのChairmanとCEOを務めるFrancois-Henri Pinault氏は「ケリングは、自然資本の減少といった大規模な問題への解決策を生み出していく上で必要となる透明性や協働のためにE P&Lの成果を共有するのだ。E P&Lは、我が社がより持続可能なビジネスモデルへ向かうための効果的な促進剤としての役割を既に果たしている」と語った。
現在、自然資本会計については多くの先進企業が試行錯誤を繰り返しながら取り組みを進めている。今回のケリングによる方法論の公開をはじめ、各社が情報共有をしながらNCPといった国際標準化の動きと足並みを揃え、経営判断および投資判断に役立つ方法論の開発を進めていくことが期待される。
【参照リリース】Kering open-sources Environmental Profit and Loss Account methodology to catalyse corporate natural capital accounting
【企業サイト】KERING
【団体サイト】Natural Capital Protocol
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