英ジェレミー・ハント財相は12月9日、EU離脱によるEU法廃止後の英金融制度の骨格となる「エジンバラ改革」を発表した。煩雑な規制内容を合理化することで、英インフラ等の資産に民間投資が1,000億ポンド(約17兆円)以上呼び込むことができると標榜。2023年にも大半の立法を終える計画。
エジンバラ改革では、資本活用効率を上げ、英金融市場の競争力を上げることを大きく掲げている。まず、目論見書制度の見直し、不動産投資信託に関する規則改革、上場前の資本アクセスを向上するホールセール市場の実証等を掲げた。また、銀行のリテール部門をリスクの高い投資銀行部門から切り離す「リングフェンス制度」も改革し、リテール特化型銀行は同制度の対象から除外することも盛り込んだ。
さらに、英金融当局の健全性監督機構(PRA)とFCA(金融行為規制機構)に対し、英金融市場の競争力向上を図るための権限も移譲。両当局は、国際基準に準拠しながら、競争力を向上させる義務を負うことになる。PRAとFCAは、第一次ミッションの金融の安全性と健全性に加え、第2次ミッションとして競争力向上も設定されており、「Secondary Competition Objectives(SCO)」という用語も用いられている。
加えて、消費者向けのには、消費者信用法を改正し、信用分野におけるイノベーションの奨励し、消費者や企業のコスト削減するための制度簡素化も行う。英国での中央銀行デジタル通貨(CBDC)創設も検討する。
グリーンファイナンスでは、世界初のカーボンニュートラルに向けた金融センターになるため、2023年初めに新たなグリーンファイナンス戦略を発表することにコミット。ESG評価機関をFCAの監督下に置き、品質の確保に動く。また、EUの「欧州長期投資ファンド(ELTIF)」スキームの代替として、英国独自の「長期投資ファンド(LTIF)」スキームも促進する。
今回の発表を受け、英ESG投資推進ShareActionは声明を発表。ESG評価機関をFCAの監督下に置くことには、原則支持しつつ、FCAが適切な権限をもつべきと言及した。一方、FCAが競争力向上のミッションを協力に持つことに関しては、規制当局のリスク管理ミッションが抑制されてしまうと懸念。また、EUのソルベンシーII指令を大幅に緩めた英国法を導入することに関しては、保健セクターの気候変動アクションが減衰しかねないと懸念を伝えた。
【参照ページ】Edinburgh Reforms hail next chapter for UK Financial Services
【参照ページ】ShareAction responds to the 'Edinburgh Reforms'
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